タクシードライバーの健康管理。血圧とダイエット。
2年前の事だ。
昼間、家で寝ていて仕事に行こうとして起き上がった時、急に天井がグルグル回ってその場に倒れ、起き上がれなくなってしまった。
自分でも、何が起きたのか分からなかった。
天井が回るなんて初めての経験だった。
私はベッドに横になりながら考えた。
この症状は何だ? いったい何が原因だ?
その頃は、朝6時まで目いっぱい仕事をやっていたので、疲れが出たのかと思った。
その日は、寝込んで、とてもタクシーに乗れる状態ではなかった。
結局、仕事を休んでしまった。
翌日、近くの病院に行って、診てもらった。すると、血圧の上が160まで上がっていた。
医者から高血圧症だと言われた。
高血圧症になると、脳出血や脳梗塞、くも膜下出血、狭心症、心筋梗塞をおこしやすくなるそうだ。
高血圧の原因は、塩分の取りすぎ、肥満、運動不足、ストレスと言われている。
私は、まずいと思った。
塩分の取りすぎ、肥満、運動不足、ストレス・・・。
全て、私に当てはまっている。
私は、医者から、塩分の取り過ぎに気をつけて、体重も落とすように言われた。当時の体重は、72kgあり、腹回りも大きくなっていた。
1日の塩分摂取量は、6グラムまでということだった。
6グラムと言うと、大体、カップラーメン1個分だ。
だから、私はカップラーメンまるまる1個は食べられない。食べるとしても、スープは微量しか入れられない。
何度か薄いスープのラーメンを食べてみたが、これが絶望的にまずい。
いったい私は何を食べているのか。哀しい気持ちになった。
カップラーメンだけではない。
漬物、パン、ハム、ソーセージ、カレーライス、ハヤシライス、牛丼、チャーハン、中華丼、餃子、シューマイも塩分が多いので、食べられない。
食べるとしたら、塩分を少なくして、自分で作るしかないのだ。
🚕
それから、ダイエットについてだが、まず、ご飯の量を半分にした。
そして、出来るだけ、甘いものを食べない。脂っこいものも食べない。
夜、仕事中に、車の中でパンとかおにぎりとか食べない。
全体的に、食事の量、カロリーを減らしたのだが、とにかく、夜、食べないようにした。
それだけを徹底した。
おそらく、それが一番の太る原因だと思われたからだ。
最初はきつかった。
仕事中にパンやおにぎりを食べる事が習慣化されていたからだ。
うっかりすると、コンビニで、甘いものに手を伸ばしそうになる。
しかし、ここで我慢して痩せなければ、血圧は下がらない。
下がらなければ、脳出血や心筋梗塞を引き起こすかもしれない。
私は、それらが怖い病気である事をよく知っている。
何故なら、タクシー会社の先輩や同僚たちが突然倒れ、中には亡くなってしまったのを何人も見て来たからだ。
高血圧は、命に直結する。
これは、間違いない。
私は、夜中、腹が減っても、じっと我慢した。
「おにぎり一個くらい大丈夫だよ」という甘いささやきが私の中で聞こえたが、聞かなかった。
とにかく、夜は食べない。タクシーに乗っている間は食べない。
私は修行僧のように、それだけを実行した。
その甲斐あって、72kgあった体重が半年後には65kgまで落ちて来た。
すると、血圧も160から、130くらいまで落ちたのだ。
タクシーを、始めて20年。年齢も62歳になった。
本当は、きりのいいところでリタイアしたいと思っているが、そうもいかないだろう。
理由は、生活できないからである。
住宅ローンも、あと13年残っている。
例え年金をもらえる歳になっても微々たる金額だから、動けるうちは働かなくてはならない。
「高血圧」に負けて、死ぬわけにいかないのだ。
しかし。
今日体重を計ったら、67kgに増えていた。
くーーっ。
リバウンドというやつか。
しばらく65kgをキープして来たのに、何かが忍び込むように、少しずつ体重が増えてしまった。
ダイエットに成功して、安心して、大好物のどら焼きを復活させたのが原因か?
せっかく下がった血圧も高くなりつつある。
私の食欲は果てしがない。
とりあえず、今日から、どら焼きを我慢するしかないようだ。
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