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まるで言葉遊び 直感的な翔の歌詞

横浜銀蝿のボーカルであり顔である翔。テレビやラジオ、雑誌のインタビューやステージのMCなど、喋りに関してはだいたい翔くんの仕事となる。そもそも翔くんはハスキーでセクシーな声が魅力的であるがそれだけではない。彼の言葉には力があり説得力がある。横浜銀蝿には欠かせないフロントマンだ。

翔くんが語っている言葉を聞いていて思うのは、きっと頭がいいんだろうなということ。頭の回転がいい。笑わせることも感動させることも、時にはファンに対して厳しく愛のある言葉で叱咤することもある。翔くんの言葉には不思議な力が宿っている。時に楽しい気持ちにさせてくれ、時には勇気をもらい背中を押してくれ、また時にはほろっと泣けることもある。そんな翔くんの書く歌詞はとても魅力的だ。

なぜ、翔くんの歌詞は魅力的なのだろう。まずは天性のものだとは思う。また、経験からくる言葉の重さもある。そして一番の魅力は今回のコラムのテーマとなる直感的な彼の言葉だ。

Johnnyの歌詞は、ストーリー重視でJohnnyのロマンティックな性格が色濃く出ていると先日のコラムで書いた。Johnnyと比べると翔くんの歌詞はまた違うタイプとなるのだ。Johnnyと翔くんの歌詞の違いを見ると、なかなか面白い。


Johnnyは曲の中に物語のようなストーリーを作りあげる。言いたいことが何行にもわたって言ってくる。それによって情景が浮かびやすく歌詞の内容が入ってきやすい。対する翔くんはひとつのテーマをもとに直感的な感覚の言葉の羅列で、言いたいことを簡潔にすることで言葉にリズム感が生まれているのだ。単純明快でくどくない。

直感的な言葉といっても伝わりにくいかもしれないが、分かりやすく簡単に言うと、リズムにうまく乗る言葉のチョイスが天才的なのだ。言葉の乗せ方が実にうまい。まるで感覚を研ぎ澄ませた直感的言葉遊びだ。例えば「翔んでるセブンティーン」でみてみよう。曲のテーマは17歳のツッパリの女の子だ。


  She's just 翔んでるセブンティーン
  She's just 翔んでるセブンティーン
  She's just 翔んでるセブンティーン
  She's just 翔んでるセブンティーン

  ポニーテールで街角フラフラ
  (Lady Seventeen)
  赤いルージュもつけたてホヤホヤ
  (Lady Seventeen)
  She's just 翔んでるセブンティーン

  学校中途で 元気にフケフケ
  (Lady Seventeen)
  トイレで変身 私服でヌケヌケ
  (Lady Seventeen)
  She's just 翔んでるセブンティーン

  サテンでたむろしおしゃべりガヤガヤ
  (Lady Seventeen)
  灰皿一杯煙りをモクモク
  (Lady Seventeen)
  She's just 翔んでるセブンティーン

  She's just 翔んでるセブンティーン
  She's just 翔んでるセブンティーン
  She's just 翔んでるセブンティーン
  She's just 翔んでるセブンティーン
  AH AH AH

  単車にまたがり Highway ビュンビュン
  (Lady Seventeen)
  皮のツナギも新品パリパリ
  (Lady Seventeen)
  She's just 翔んでるセブンティーン

  つぶらな瞳でメンタンキリキリ
  (Lady Seventeen)
  かぼそい指で スパスパ
  (Lady Seventeen)
  She's just 翔んでるセブンティーン

  She's just 翔んでるセブンティーン
  She's just 翔んでるセブンティーン
  She's just 翔んでるセブンティーン
  She's just 翔んでるセブンティーン
  AH AH AH


これは実に分かりやすい。この曲で翔くんは言いたいことを一行ごと、小節にするとわずか2小節ごとにぶち込んできている。しかもその一行の最後はフラフラ、ホヤホヤ、フケフケ、ガヤガヤといった言葉で締めるという今でいうラップのような手法に近い。「翔んでるセブンティーン」のタイトル通り、17歳のツッパリの女子で思い浮かぶ行動を羅列しているだけだ。それが曲にリズム感を与え勢いが増している。

Johnnyのようなストーリー性はない。しかしテーマはある。そのテーマに沿った言葉をリズムに乗せてテンポよく繰り出していく。これが翔くんの作詞の手法だ。もちろんストーリー性のある歌詞もあるにはあるが、やはり翔くんの歌詞はストーリー性よりもテーマに合う感覚的、直感的な言葉の羅列のイメージだ。

もう一曲「人生をかたるには」という仰々しいタイトルの歌詞をじっくり見てみよう。タイトルの通り人生という重たいテーマについて歌っているが、言葉のそれぞれは重たい要素は微塵もないところが面白い。


  バラの木にバラの花咲く
  (夜空に星がキラキラ)
  雨の降る日は天気が悪い
  (夜風に波がチャプチャプ)
  バラの木にバラの花咲く 
  (当たり前でもマジマジ)
  それが肝心なんだぜ
  Hey boy, it's all right

  人に心 地に花
  出逢いのあとに別れ
  気づかずに Baby いたら
  あとで悔やんで にがい思いは
  いつでもなんでも
  feel so bad

  いつも冷たく so bad
  つきはなされて いじけた 
  やけっぱちの天使たち
  it's so good, ok, everybody
  忘れちゃいけない事さ

  バラの木にバラの花咲く
  (夜空に星がキラキラ)
  犬が西向きゃ 尻尾は東
  (夜風に波がチャプチャプ)
  バラの木にバラの花咲く 
  (当たり前でもマジマジ)
  それが肝心なんだぜ
  Hey boy, it's all right

  月に群雲 桜花に風
  みっかみぬまの桜かな
  気づかずに Baby いたら
  あとで悩んで つらい思いは
  どこでも誰でも
  feel so bad

  いつもつまづき so bad
  何度も挫折しながら
  それでもfightもやして
  it's so good, ok, everybody
  やっと気づいたことさ

  バラの木にバラの花咲く
  バラの木にバラの花咲く 
  忘れちゃいけないことさ

  バラの木にバラの花咲く
  バラの木にバラの木に
  バラの木にバラの木に…

  肝心なんだぜ
  Hey boy, it's all right
  それが肝心なんだぜ
  Hey boy, it's all right


基本的に当たり前のことを並べてるだけの歌詞だ。けれどこの歌は、人生にはつまづきや挫折は付き物。そんな当たり前のことを忘れないことが大切なんだということを教えてくれている。やはりストーリー性はあまりないが、とても深いテーマがあるのだ。おそらくまずテーマありきで当たり前のことを羅列して歌詞を作り上げた感じだろう。これもやはり歌詞がリズムに乗り、半端ない疾走感を生み出している。この曲だけでも翔くんの作る歌詞の面白さと深さが分かるだろう。ひとつのテーマに沿って感覚的に言葉を並べてリズムに乗せていく。それも1小節に1フレーズだ。これはもはや天才の域。

今回このコラムを書くために、改めて何度も翔くんの歌詞を読み返してみた。まるで言葉遊びのように言葉を操る翔くんの才能にノックアウトされた。分かっていたつもりだったけれど思ってた以上の才能に脱帽する。

翔くんは横浜銀蝿をやるために生まれてきた人だ。生まれてからJohnnyとつるんでいた青春時代の経験はすべて横浜銀蝿に注入されている。それ以降も今に至るまでずっとそうなんだと思う。嵐さん、Johnny、TAKU、そして翔くんの4人が揃ってこそ横浜銀蝿なのは当然ながら、やはり翔くんこそが横浜銀蝿の顔なのだ。きっとこの人はいつも横浜銀蝿をやっていないとダメなんだ。


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