英語もタイ語も、発音記号はなぜ必要なのか?
生徒様から「発音記号は、ネイティブの人も読めるのですか?」と聞かれると、私は「ほとんど読めないと思います」と答えていました。
時折、「発音記号を知ることは無駄な作業のように思えます」とおっしゃる方もいます。
それもそのはずだと思います。なぜ、ネイティブさんが読めないものをわざわざ覚える必要があるのか、考えてみようと思います。
ネイティブさんは自然に読めて発音できる人
ネイティブさんは、その土地に生まれてからずっとその土地の言語を使い、朝から晩までその言語で暮らしている人です。
発音記号なんか使わなくても、つづり字を見れば読めて自然に発音できてしまうのです。発音記号を読む習慣はないのです。
日本に生まれ育った私たちにも同じことが言えます。私たちは、発音記号無しでひらがな、カタカナ、漢字で綴られたものが読めて発音できます。
イギリスに生まれ育った人、タイに生まれ育った人にも、同じようなことが起きているということです。
英語はつづり字の通り読めない言語
街の看板、商品のパッケージ、CMなど、私たちの日常には、英単語を本当によく見かけます。
このため、気づきにくいかもしれませんが、実は英語はつづり字の通りに読めない言語です。
英単語「one」が良い例です。「one」はつづり字の通り読むと「オネ」です。なぜ、「one」を「ワン」と読むかというと、英語辞書に「発音記号」が載っています。
ついでに、以下の辞書で、oneの音声も聞いてみましょう。
カタカナの「ワン」とは違う感じに聞こえませんか?これは、発音記号が示す口の形で発音しているからなのです。
oneの発音については、以下、オリジナル英語発音テキスト「英語はじめの一歩」の解説をご覧ください。
本テキストP2のサンプル画像(当教室の教材オンラインショップより)
デジタル発音テキスト「英語 はじめの一歩」
フォニックスは実用的?
英語圏の子ども達は、つづり字と発音との関係性を学ぶphonics (フォニックス)という方法で、英語の読み方を覚えているという話を聞いたことがあります。
実用的なのかもしれませんが、私を含め、中学英語の時点で発音記号に出会った人には、難しいと考えています。
そもそも、私自身がフォニックスの存在をほぼ知らず、発音記号を手書きして英単語を読む習慣をつけたまま成人してしまいました。
このため、教える術を持っていません。
英単語の意味が分からない時、辞書を引くと発音記号がすぐに目に入ります。
発音記号の読み方を知っていると、その場ですぐ音声化しやすいため効率的と、私は考えています。
タイ語はつづり字の通りに読めるが…
タイ語は英語と違い、ほぼ表音文字なのでつづり字の通りに読めます。
タイ語は、子音42字、母音32字(参考書により表記数が異なる)、声調記号4字を組み合わせて表します。
そして、子音、母音、声調記号の組み合わせによって、読み方の規則があります。
つまり、つづり字の通りに読めるようになるには、タイ文字1つ1つの読み方と規則を覚える必要があります。
規則がありながら、例外もたくさんあります。
例として、日本人に大人気のタイ料理「カオマンガイ」のつづり字です。
ข้าวมันไก่
以下、リンクで発音が聞けます。カタカナの「カオマンガイ」とは何となく違う音に聞こえませんか?
タイ・バンコクの名店の「カオマンガイ」
つづり字のとおり読めない人のためのツール
発音記号は、つづり字のとおり読めない人のための最強ツールなのです。
なんと言っても、ローマ字に近いということが本当にありがたいです。
1つ1つの発音記号は、口の開け方はもちろん、息の吐き方まで指南してくれるのです。
この記号は「唇を横に開く」、あの記号は「上唇をグッとあげ、息を強めに吐く」といったことが明記されているのです。
このことからして、語学はフィジカルトレーニングだということがよく分かりますね。
自分なりの語学との付き合い方を
いかがでしたか?
つづり字だけで読むことにチャレンジする、発音記号に頼りながら読む、どの方法も選ぶことができます。
ちなみに、私は英語もタイ語も、発音記号に頼りながら読むことを選択しています。
慣れて来るとつづり字だけで読めるようにもなりますが、勘違いを防ぐためにそうしています。
大切なのは、「続けていくためのベストな手段」を選ぶことです。
語学は続けて行くことでスキルを維持できるからです。
やめてしまったら、自分の中から消えていってしまいます。
自分なりの語学との付き合い方を見つけられる人こそ、続けて行ける人だと思います。
※当教室のデジタル発音テキスト、500円ダウンロード販売中です。
ここまで読んでいただきありがとうございました。