ひと駅分の物語。 「夜雨に打たれて」
「夜雨に打たれて」 青春軌跡、山手より
頼りがたい外灯に照らされて踊る、どくだみの花。
揺れる葉の裏で、蛹が待つのは満月。
汐汲坂のアジサイは気取り屋。
袋小路のくたびれたツツジには、ハイカラな杖がよく似合う。
いつだってロシュのバラの手持ちのカードは、Queen…
十字架を前に。
止まらない山手のタクシー。
人の気も知らないで、輝くテールランプ。
信号待ちのメロディーは、ブルース。
天気予報を信じなかった背教者たち。
高速道路下の違法船は、どこへ行ったのか?
遠い昔のことだ。
カフェに流れ込むのは あま宿りの足音、ガラス越しのマシーンはWMF。
満席の関帝廟通りでほくそ笑むのは、紫色のパワーストーン。
ニューグランドのロビーでは、フリンな情事を見て見ぬふり。
眠っている氷川丸、ふてくされた赤い靴。
落書きの消された赤レンガ、パンプスを拒むのは馬車道の歩道。
あの子は今、どうしてる?
置き去りにした 悔い、鳴り響く教会の鐘。
いくら待っても虹は出ないよ。
そろそろ帰ろうか、夜雨に打たれて。
「 夜雨に打たれて」 の舞台
戦後しばらくしてアメリカへ戻った元軍人が若き頃を懐かしむ様子。
久しぶりに会った、当時BARの呼び込みをしていた日本人にひと言たずねるが、虹は出ないと返される。
山手のレストランで食事を終えて、山手本通りから汐汲坂を下り中村川を渡って中華街へ。
そこからニューグランドホテルを通り過ぎ山下公園、臨港線プロムナードから赤レンガ倉庫。万国橋を経由して馬車道へ。指路教会の前を通り桜木町へ。
ひとりで散歩するのにちょうどいいです。オススメします。
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