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#1 【1872年10月14日】 鉄道開業時の新聞記事

1872年10月14日(明治5年9月12日旧暦)、新橋(現在の汐留)〜横浜(現桜木町駅)間にて我が国最初の鉄道が正式開業した事は鉄道好きなら周知されているし、少し歴史に興味がある人なら知っている方も多いだろう。
実際にはそれより前の同年6月9日(旧暦5月7日)に品川〜横浜間にて仮開業をしているが、これらの事は後に出版された『鉄道史』などの書籍などで記されているが当時の新聞記事に関して触れている文献は意外と少ないと感じた。
当時の新聞記事を可能な限り調査しまとめた。
尚ここで紹介する新聞記事は全て著作権期限切れのためそのまま掲載した。
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鉄道開業時の三大新聞

全国紙の三大新聞といえば、読売新聞、朝日新聞、毎日新聞となるが読売新聞と朝日新聞は鉄道開業時にはまだ創刊されていない。
読売新聞が1874年11月4日、朝日新聞が1879年1月25日にそれぞれ創刊号が発行された(1873年から現在使われている太陽暦に改暦)
その事をみても鉄道の歴史が如何に古いかがわかるが、もう一つの毎日新聞は?というと、こちらはなんと1872年3月29日(旧暦2月21日)に創刊されている。
三大紙で唯一鉄道開業時に創刊していた事になる。
当時は東京日日新聞という名称だった。

東京日日新聞(毎日新聞)

手元の資料で一番古い日付は明治5年2月30日(旧暦)の『東京横濱間鐵道建築落成』の記事になる。
(正式開業の前なので品川〜横浜間という事になる)
開業に関しての正確な日付は知られているが落成の日についてはWikipediaにも書かれていないので貴重な記事となる。

東京日日新聞では仮開業時の時刻賃金表なども記事になっている。
正式開業時の記事(著作権期限切れ)を紹介する。

東京日日新聞1872年10月15日(旧暦9月13日)

毎日新聞縮刷版や記事データベースの「毎索」、「新聞集成明治編年史」などを参考にした。

その他の新聞は?

当時、歴史のある三大新聞でも一紙しか記事がないのなら他には発行されてないのかと思うが、実は開業当時に他にも新聞がいくつか発行されていた。
以下に紹介する。

郵便報知新聞

1872年7月15日(旧暦6月10日)に創刊され買収や合併などを経てスポーツ報知となる。
9月(旧暦)の記事で開業式の様子を伝えている。
『鐵道開通式擧行の大盛儀』の見出しで開通式の写真を載せているが写真掲載は日本語の新聞では唯一と思われる。
※他に『ファー・イースト』という英字新聞でも開業時の様子を写真付きで伝えている。

横濱毎日新聞

1871年1月28日(旧暦明治3年12月8日)創刊で日刊の新聞では日本最古とされている。
横濱活版社として開業当時に鉄道の時刻運賃表も発行していた。前出の毎日新聞とは別系統である。
仮開業時の時刻表や開業時の様子を伝えている。
開業式典の様子を伝える記事を紹介する(著作権期限切れ)

横濱毎日新聞1872年10月8日(旧暦9月6日)

横濱毎日新聞は横浜市立中央図書館に縮刷版が所蔵されているが国会図書館では欠号扱いとなっている。

新聞雑誌

最後に紹介するのはかなりレアな新聞となる。
「新聞雑誌」という名称で1871年に創刊され月2回発行されていたが東京曙新聞と改名し1874年に終刊となった。
旧暦5月に『品川横濱間の汽車開通す』『京濱間の鐵道一日三往復』と仮開業時の記事があった。
当方は「新聞集成明治編年史」より記事を集めた。 

鉄道正式開業当日の写真

最後に余談になるが鉄道正式開業当日の写真について。ネット上や書籍等で目にする写真は新橋のものばかりだが開業当日は横浜でも開業式が行われておりその時の写真も存在している。
一度は目にしておきたいその貴重な写真は横浜都市発展記念館に所蔵されている。また「季刊誌横濱76号」に掲載されている。開業当日の横浜での写真で当方が知っているのはその一枚のみである。

以上が当方が知る【鉄道開業時の新聞】となる。
日本の発展には欠かせない鉄道の歴史を今後も紹介していきたいと思う。



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