居酒屋🏮5
「ところで寅は最近もライブハウスには行ってるんか?」
「もちろん!今やワシの存在はあの店に、欠かせなくなってるがな」
はぁ
ガラガラーー
「いらっしゃ、あれ弥生ちゃん、1人かい?」
「1人に決まってるわ!あんな煮過ぎて
崩れたカボチャみたいな男なんかと来るもんですか!」
「ホンマは仲がいいのにな、弥生ちゃんと旦那さん」
「やめてよ店長、気色わるっ!」
「ハハハ、なに呑む」
「キンキンに冷えたハイボールちょうだい」
「キンキンにな。ホイホイ」
弥生はタバコを加え、火をつけた。
寅が、スッと灰皿を置く。
「あら、寅ちゃん。居たんだ。ありがと」
「エエがな、これくらい」
「キンキンのハイボール、お待ち」
「待ってたわ。寅ちゃんは何を呑んでるの?乾杯しよ」
「いつものお湯割りや、じゃあ」
カンパーイ!!
「んー!冷えてて最高だわ」
「弥生ちゃん、ワシな最近ライブハウスで歌ってるんや」
「ライブハウス、寅ちゃんが!これは驚いたわ。どんな人の歌ってるん?」
「色々やけど、先日は女性歌手の人のを歌ったで」
[マ、マズイ!弥生ちゃんが大好きな歌手の人がおるんや!]
「へ〜何ていう人」
「女のお客さんに人気がある人やったわ。
ムーミンって人や」
[ウワッ!最悪や!]
「ムーミン。。。寅ちゃん、あのさぁ、その人の何ていう歌を歌ったんや」
「ダンダン畑っていうやつや」
[オーマイガー!]
「寅ちゃん、もう一度訊くけど、歌ったのは、ムーミンって人のダンダン畑なのね?」
「そうや。弥生ちゃん顔が怖いがな」
「寅ちゃん、それはな、ユーミンのDANG DANGやっ!」
「へ?ユ、ユー」
「ユーミン!アタシはファンクラブにも入ってるくらい好きなのよ!それなのに
ムーミンのダンダン畑ですって?
店長、キンキンのハイボールおかわりっ」
「寅ちゃん、今夜は徹夜で特訓するがな、
ユーミンの全てを伝授するから覚悟しいや」
寅は、恐怖のあまり声が出なくなり、口だけがパクパク動いてる池の鯉になっていた。
おしまい
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