ずっと見ていた 20 紗希 2022年8月4日 02:04 ボクには入れない世界だというこ よく判っていたよ それでもキミのこと遠くからでも見て たくて きっとキモいと云われるだろう、けど なんて思われてもボクは構わない ただずっとキミを見ていられれば そでいい 「最近はピザの宅配も頼めるんだってね」「みたいね。ここみたいな海岸にも、花火大会の会場にも届けてくれるらしいよ」「便利になったってことか?」「う〜ん、どうなんだろう、アッ!サンドイッチ隠して守!」トンビが食べ物を狙って襲って来る。私の頭をかすめて行った。「油断も隙もないな」守が死守したサンドイッチを頬張りながら話す。「子供の頃には無かったのにな」「知恵が付いたんだ。きっと最初にトンビに食べ物をあげた人がいるはず」「せっかくいい景色を見てるのに、これじゃあ落ち着かないね」「移動するか」「仕方ないね」 ピーロロロロ「のどかなんだけどね〜」さっきまで、大勢の人でいっぱいだった海岸も、ポツポツと帰り始めた。夕凪「風花、これから何処に行こうか」「まだ時間も早いし、守は行きたいところある?」「あるよ」「それならちょうどいいじゃない、そこに行こうよ」守は動かない。「どうしたの、行かないの?」「俺はまだ、どこに行くかは云ってないよ」「守が行きないなら私は構わないもの」彼は少し怒ったような顔をしてる。私はどうしたらいいのかさっぱり判らない。強く風が吹いて守も私も髪が狂ったように散らばっているまだ守が怒っているのは確かだったハッキリ云えばいいじゃない、それを1人で不貞腐れて、子供みたい!痺れを切らした私は歩き出した。「1人で怒ってれば!じゃあね」「ホテル!」私は立ち止まり、ゆっくり振り返った。守が見たことのない真剣な顔をして私を見てる。「……クリームあんみつを食べに行こう」「……」「その後なら行くから」守は黙ったままだ。けれど表現は柔らいでいた。私の隣に走って来た守は笑顔になっている。19歳と18歳の私と守。早いか遅いかはどうでもいい。比較するから可笑しくなるのよ。……そうなんだ寂しいかって?少しはねずっと見てきたからさ風花は最高の飼い主だったんだよまた猫に生まれて風花と一緒に居たいありがとう、風花。ボクも帰ることにする。たくさん仲間たちがいる空に、帰るね。「ん?」「どうした」「何が私の頭をサ〜と掠めたみたい」「何かってなにが」「なんだか、とっても暖かくて懐かしい何か」「そうか」ずっと見ていたんだよ、ボク 了 ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する この記事が参加している募集 #猫のいるしあわせ 29,225件 #短編小説 #猫のいるしあわせ #誰かの役に立てたこと #無条件の愛情 #たくさんありがとう #誰かが見ていてくれる #海岸で何か食べるときはトンビに気をつけて 20