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新しいネットカルチャー「Nカルチャー」って?

先日、突然「現代4コマ」の公式Webサイトが誕生しました。

このWebサイトは、現代4コマに関する情報や展示会の情報、現四通信など、さまざまなコンテンツが掲載されていて、まさに現代4コマの「入口」と言える場所です。

そのサイトの中に、特に興味深い項目がありました。

それは、現代4コマだけでなく、最先端の発想で生まれた新しいネットカルチャー「Nカルチャー」が紹介されている部分です。
Nカルチャーって何なのか? サイトを読み進めていくと、いくつかの代表的なNカルチャーが紹介されていました。

例えば、網膜音楽、網膜ボカロ、無意味グラフ、ピーコロンなど、面白そうなものがたくさん並んでいます。
でも、これらはいったいどんなものなのでしょうか?
今回は、そのNカルチャーについて簡単に紹介していきます。
また、Webサイトに載っていないNカルチャーもいくつか紹介できたらと思います。



現代4コマだけではない
新しいネットカルチャー

最先端の発想
「Nカルチャー」

―NEW・NEXT・NET―
新しくて・次世代で
ネットから始まる遊び

現代4コマ

Nカルチャーを代表するものと言えば、やはり「現代4コマ」です。
この新しい4コマ運動は、インターネットの新しい流れを生み出し、今や一つの文化となっています。

現代4コマの特徴は、豊富な作品数や、リアルでの展覧会イベントが充実していること、そして新しいSNSの使い方を提案している点です。
この流れから、他にもさまざまなNカルチャーが生まれてきました。
詳しく知りたい方は、以前書いた記事をご覧ください。


網膜音楽・網膜ボカロ

網膜音楽は、「目で見て音を感知する音楽」という新しいジャンルです。
既存の楽曲を思い出させるような画像を提示し、それを見た瞬間に脳内で音楽が再生されるという仕組みです。実際には音が流れない、まさに錯覚を利用した音楽。

提唱者のいとととは現代4コマを中心に活動しているが、彼の現代4コマ「ベートーヴェンの4コマ」は網膜音楽であるとされる。

現代音楽wiki

そして、そんな網膜音楽をもっと発展させたのが網膜ボカロです。

一枚絵を見て、鑑賞者が自由にその音楽を想像するというムーブメント。
作曲家からではなく、イラストレーターや動画クリエイターから新しい音楽が生まれる、新しい流れの先駆けとなっています。


無意味グラフ

X(旧Twitter)で大人気のアカウント「無意味グラフbot」。
無意味なことを表にしてグラフ化するというシンプルなアイデアが、多くの人を魅了しています。

クイズ王・古川洋平が代表を務めるクイズクリエーターグループ「カプリティオチャンネル」にも取り上げられるなど、その勢いは止まりません。


ピーコロン/言葉遊びコミュニティ

ピーコロンは、言葉遊びをテーマにしたコミュニティで、Discordを拠点に活動しています。
日々、面白い言葉遊びが交わされ、それがXに投稿されている様子は、見る人を楽しませてくれます。
コミュニティに参加するメンバーたちは、自分たちだけの新しい「言葉の世界」を築いているといえるでしょう。

ピーコロンは、単なる言葉遊びの場に留まらず、言葉を通じた新しい交流の形を見せてくれます。
言葉に笑いや発見を求める方には、見逃せないコンテンツです。


VirtuNym(ヴァーチュニム)

VirtuNymは、現代4コマ作家を二次元美少女に変身させるプロジェクト。
突然登場し、周囲を驚かせました。

「Vtuber」とは違い、配信活動をするとは限らず、また本人と性格が一致するわけでもないため、あくまで「デジタルアイデンティティ」として新しいキャラクター像を提案しています。
今は現代4コマ作家に限定されていますが、将来的にはさらに多様なキャラクターが誕生する可能性を秘めています。

今後、オリジナルのVirtuNymがどんどん増え、依頼によってVirtuNymを作成するサービスも登場するかもしれません。
VirtuNymがどのように進化していくのか、今後の展開が楽しみです。


既存漢字グランプリ

「創作漢字」に対抗する形で始まったのが、「既存漢字グランプリ」。

素晴らしい既存の漢字を競い合うこの大会では、最終的に「」という漢字が優勝しました。

SNSでも話題となり、Google Japan漢字ミュージアムの公式アカウントからも反応を受けるなど、大きな注目を集めました。
さらに、結果発表の報告ポストには、漢検の公式アカウントからも「いいね」をもらうなど、注目度はますます高まりました。

既存の漢字に新しい価値を見出す大会」として、非常に意義のある取り組みだったと言えるでしょう。


トーナメントアート

トーナメント形式でアート作品を制作するという、新しいジャンル「トーナメントアート」。

オンライン上の表計算ソフトを使った展覧会も開催され、オンライン展覧会の新たな形として評価されています。

SNSで話題となった作品も多く、「優勝者に脊髄が与えられます」という作品は3.4万いいねを超えるなど、大きな反響を呼びました。


絵文字漫画

絵文字漫画とは、絵文字による漫画表現です。
絵文字を使ってストーリーやキャラクターを生む創作物を指します。

このジャンルは、2021年の暮れにキョウソちゃんが「絵文字漫画」という言葉を使い、リプライで続ける形で連投する絵文字作品を投稿し始めたことで確立されました。

以降、さまざまな作家が絵文字漫画を制作するようになり、今ではNカルチャーの中でも将来が期待されるコンテンツの一つです。


クリティシスム

クリティシスム」は「クリティシズム」ではありません。
芸術的な色彩があるため、あえてキュビスムやシュルレアリスムのように、フランス語風に「クリティシスム」と表記されています。

批評でしかありえない文章や表現でありながら、前衛芸術・現代芸術由来の独創性や前衛性、そしてユーモアがあるものがクリティシスムです。

クリティシスム芸術の条件
1. 文章や話芸、それに準じる形態であること
2. 既存の芸術・作品またはそれに類するものに対して何かしらの新視点を提供していること
3. 類例がない(もしくは少ない)前衛的な作風や題材であること
4. ちょっとしたユーモアがあると、なおよい

クリティシスム宣言

いとととさんが発見したもの

いとととさんは、街中やインターネットで見つけたユニークなものに名前を与え、それをジャンルとして確立する活動を続けています。
これもまた、Nカルチャーの一環として注目されています。
ここでは、いとととさんが発見し、ジャンル化した代表的なものをいくつかご紹介します。

来るもの拒マンホール

来るもの拒マンホール」は、点字ブロックに寄り添うように配置されたマンホールのこと。
点字ブロックを抱きしめるかのような配置が「拒まない」姿勢を象徴し、親しみを感じさせます。
この「来るもの拒マンホール」は、noteのお題企画「#私のコレクション」で受賞作品に選ばれ、さらに注目を集めました。

暗記しやすい

赤い文字で重要部分が強調された看板に赤シートをかざし、暗記用のように扱う「暗記しやすい」シリーズ。
このシンプルな発想が、思わずクスッと笑える面白さを生み出しています。
日常の何気ない看板に新たな見方を加える、いとととさんの代表的なカルチャーの一つです。

子供が作った再生リスト

YouTubeでランダムな文字列を検索すると、支離滅裂な再生リストが見つかることがあります。
これが「子供が作った再生リスト」という、今インターネットで注目されるカルチャーです。
現代におけるシュルレアリスムであり、「児童筆記」とも呼ばれています。
インターネットならではのアートとも言えるでしょう。

いとととさんが発見し、確立したジャンルはまだまだ他にもありますが、今回はこのあたりでご紹介を終わります。
これらのシリーズは、現代の日常やインターネットに新たな視点を加え、Nカルチャーの中でも特有の不思議な存在感を放っています。


Nカルチャーはまだまだ広がる

ここまで紹介してきたように、Nカルチャーは多様な展開を見せていますが、これで全てではありません。
まだまだユニークなNカルチャーが存在し、今後もさらに増えていくでしょう。
いずれ、これらの代表的なNカルチャーをまとめたカタログが登場するかもしれません。

現代4コマとともに、Nカルチャーは日々進化を続け、新しいアイデアや表現を生み出しています。
これらのカルチャーはSNSを通じて多くの人々に影響を与え、新たなインスピレーションを提供しています。
これからのNカルチャーの動きに、目が離せません。


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