トンダカラ3rd flightの感想
とりとめのない、ピンボケかもしれない感想ですが、とても心に残る舞台だったのでいつか読み返せるようにノートに残しておこうと思います。
トンダカラ 3rd flight social distance ver.感想です(2020.7.28)
ネタバレも含みます
悲しい終わり方ではあるんだけれど、それでもうっすら希望が感じられるのは、ダニーの人生には多分これからもずっとタイラがいてくれるんだろうなと思えたから。
最後タイラが会いに来たように、立場は違えど今後も二人の友情は続いていくのかもしれないし、もしかしたら二人はもう会うことはないのかもしれない。
それはわからないけど、心から大切に思いあえる親友が確かにいたという事実は、きっとこれからのダニーを支えてくれるんだろうな。
最後までダニーとタイラはお互いにとって無二の存在だったんだな…
鑑賞中抱いていた、「ダニーに比べてタイラはキャラが掴みにくいな、なんだかその時々で別人のように見えるな」という印象が、繰り返し見ていくうちに「わざと」なんだって分かったときにはゾクッとした
ほんと、賢い大俳優なんだ、タイラ…!
そして自分をある意味欺いたその芝居を「好きだよ」と、ストンと言えるダニー。
タイラが正しい選択をしたことを、ダニーは嬉しく受け止めたということがすごい。
憧れてしまう愛の形というか。
親友を牢屋にぶちこむことになるってよく分かっていて、それでも一晩で心に踏ん切りをつけて正しい選択をしたタイラ。原田さんのあの瞬間の、心の中の暴風雨がみえるような演技がすごい。でも親友が間違っているからこそ、他の誰でもなく自分が止めてあげなければと思ったんだろうなあ。つよい…。
自分を捨ててもとにかくまっすぐタイラを救おうとしたダニー。ダニーにできることはそれしかなかったし、彼は彼なりの最善手を考えて、人を愛している故に選択してきた道だったんだろうなあ。と思えるだけに悲しい。ダニーだって誰かのための選択をしてきたはずなのにね。なんだろう。つよさの差なのか。見ているようで見えていなかったものがあったからなのか。切ない…。
それでも最後、タイラが溢してくれた涙が救いに感じた。ダニーには見えていないけど…。
ダニーの正体を確信したシーンで、唯一素が垣間見えるタイラがつらい(君が連絡をとるべきは警察~のくだり)
ダニーがやろうとしたように、タイラもダニーを見逃すこともできたのかもしれないけど、それを選ばないタイラの強さ…。
でも逮捕はダニーとの友情を壊すこととイコールではなく。
そうだよな…「愛」と「正しい選択」は両立できるんだなー…
お互いが心底相手のためを思っていて、ちゃんとお互いそれを確信しているからこそ成立するのでしょうが。
愛には色々な形があるよね。共に落っこちるのも、身を呈して守るのも、愛の形であるとは思う…
だけど愛に対してこういうアンサーを出せるトンダカラが好き。
優しいだけじゃなくて強さと正しさも備えている愛。
根底にずっと愛があるからなのかな、辛いシーンも悲しいシーンもずっと一定の優しさに包まれている感じがして。
それがとても心地よかったです。
YUKAさんのピアノがその優しさの象徴のように思えました。ホント、「包んでいる」って感じがする優しい音色で。
脚本、演出、音楽、照明、舞台セット、カメラ、そして演技。全部すごくよくて素晴らしかったです。
本当に舞台ってすごい。
全然違う人の目でものが見れて、違う世界にとばされてるみたいですごい。うまく言えないけどすごい。
早く、観客も演者さんたちも安心して劇場に行ける日が来てほしいな。
楽しみです。
何度も見ていると、愛とか強さについてしみじみと浸って考えてしまうけど、元気いっぱいな高校時代の二人の記憶や、チェン婆の話、ベロニカのことなど、くだらないやり取りでゲラゲラ笑いあう、お芝居のあちこちにちりばめられた明るい無邪気なシーンも大好き。
二人が笑顔でいられたキラキラした宝物みたいな時間、あまりにも尊い……🤦
物語の後の二人にも、そんな時間がいつかまた訪れることを願ってます。
↑観劇しながらメモのように描いていたとりとめのないラクガキ。
ソーシャルディスタンスに配慮された演出でしたが、とっても美しいシーンがたくさんありました。
舞台ってすごい。
トンダカラすごい。