片付け難民だった私が憧れのホームパーティーを開催する
片付け難民の憧れ、それはホームパーティー!
実は、ずっと憧れていた。
夫は本来、人を家に招くということが好きらしいけれど、これまでの我が家では法度中の法度。
よもや禁を破って突然家に人を連れてこようものなら、夫と言えども市中引き回しの刑も辞さない案件だった。
人様をお招きできるほど、片付いていなかった。
そしてもう、片付けられない人のまま人生を終わりたくないと決意してから、近年一応片付けられる人の末席に滑り込んだ私。
憧れのホームパーティー。
そろそろ、いいのか?
私、やってもいいのだろうか?
思えば実家は何かと人が泊まりに来る家で、まだ私が暮らしていた頃は、家に帰るとよく母の姉妹がくつろいでいた。
母のポリシーは「もてなさないのが、おもてなし」
らしく、みんな勝手に冷蔵庫を開けて、食べたり飲んだりしていた。
叔母達は阪急百貨店に買い物に行って、服やケーキを買って、我家でファッションショーをする。
そして私が帰ると「おかえりー!」と言ってお茶を入れてくれた。
それが居心地いいらしく、もっと広い家に住む別の叔母もいるのに、みんな我が家に集まった。
これはもう「おもてなしの向こう側」である。
むしろハードルが高すぎないか?
ましてや、最近まで私は片付け難民。
長年の負い目がある。
ここはやはり、段階を踏んで臨みたい。
まずは、両親や兄妹を家に招いて肩慣らし。
過去の私を知っている分、なんせハードルがめちゃめちゃ低い。
人が呼べる程度に片付いてるだけで、すごーく褒めてもらえる。なんなら、驚いてもらえる。
家族に感動すらしてもらえるのだ。
よしよし、いいぞ!ちょっと自信がつく。
割と褒められて伸びるタイプなのだな、私。
この歳になると、怒られてがんばるスイッチは入らない。
さあ、少し自信がついたところで、いよいよ他人様をお招きする。
まずは、気を使わない友人を一人お昼に招いてランチをする事にした。
部屋を一通り片付けて、水回りと玄関やテーブルをいつもより少しだけ丁寧に拭き掃除をする。
台所は、シンクと五徳も一通りキレイにする。
お花も、花瓶に少しだけ活けてみたりした。
最後に、お気に入りのハーブ系のリセッシュをソファーにふりかける。
さて、料理はどうしようか?
この頃私は「京都人の密かな楽しみ」というNHKのステキなドラマにハマっていた。そこに出られていた料理研究家の大原千鶴先生は、パパっと簡単そうにおいしいもんを作らはる方で、土鍋で作る鯛めしを何度か真似て作っていた。
よし、これで行こう!
大原千鶴先生にハズレなし。
大原先生を勝手に味方につけて勇気をもらった私は、他にもテレビで見たキノコとアスパラのマリネやお汁物など、何品かをテーブルに折敷を置いてスタンバイした。
実践経験がない代わりに、長年イメトレだけはしっかりしてたので食器なんかも案外持っている。
今日は、和でいく事にした。
鯛めしは出来立てを、土鍋でどーんと出す。
おお!それっぽい!熱々はご馳走だ。
二人でお代わりしながら、おいしーね!とキャッキャと食べた。
友人は、とても喜んでくれた。
その後、私は何度もホームパーティーを開催している。最初に招いた友人の他にも参加メンバーが少し増えた。
いずれも、気のおけない友人である。
片付けのルーティーンも何度もすると手順が決まってきたので、準備も手早くできるようになった。
料理も何度も作ってるうちに、全てを手作りせずにテイクアウトも使ったり、持ち寄りにして楽に用意できるようになってきた。
習うより慣れろとは、この事だ。がんばらない。
「料理はがんばらんでええんです」と、かの日本料理界のレジェンド、土井善晴先生も言ってくださっているのだ。私ごときが、おこがましい。
いつものきゅうりの酢の物を、少し大きめの器にさっくり盛る。あら!それっぽい!
ベランダにイスとテーブルを出して、なんて事もしてみた。BGMもボサノバなんてかけて。
ホームパーティー、手慣れてきたんじゃない?
だんだん、楽しくなってきた。
でも実は、まだ家に招くのに躊躇している友人達もいる。
片付け神レベル、の友人達である。
以前、彼女たちの家にお邪魔した事がある。
スキーっと片付いてるお家だった。
これは彼女たちの問題ではなく、自分の中の長年のコンプレックスがこじれていて、想像すると少し弱気な風が吹く。
またそのうちねーと言いながら招けないでいる。
でも、そろそろこのハードルを越えてみようか。
これを書きながら、私はそう思いはじめている。
私の本来のズボラなほっ散らかし癖は、ともすればひょこひょこと顔を出してくる。
だからホームパーティーを味方につけて、これからも自分の苦手を手懐けていこうと思う。
苦手の向こう側に広がる景色は、思っていた以上に悪くない。
ほかの苦手にも、向き合ってみようかな?
⭐︎最後までお読みいただき、ありがとうございました♪