見出し画像

22 心臓:強かったり、飛び出たり

 多細胞の大きな動物において、細胞が代謝を維持するにはエネルギー源や酸素を受け取り、老廃物や二酸化炭素を除去する必要がある。そのための器官が心臓である。全身に血液を送り届けるための器官であり、血液は循環することになる。

 軟体動物の場合、頭足綱以外は開放血管系という循環器系を持ち、心臓には動脈血と静脈血を分ける壁を持たない。脊椎動物の心臓は以下のような構造からなっている。
・心室とは、収縮することで心臓外に血液を拍出する器官。
・心房とは、心室の上流にあって、心室に入る前の血液を貯留し、心室へ血液を送り込む器官。

 魚類の場合、一心房一心室であり、一対の心房と心室から静脈血(酸素に乏しい血液)がエラへ送られ、エラからそのまま全身を循環して心臓へ戻ってくる。

 両生類や大半の爬虫類の場合、二心房一心室であり、戻ってきた静脈血と肺から戻ってきた動脈血(酸素に富んだ血液)が別々の心房を通じてひとつの心室に入り、混合した上で肺と全身に送り出される。

ヒト心臓

 哺乳類、鳥類、および、ごく一部の爬虫類の場合、二対の心房と心室系からなる4つの中空部(二心房二心室)を持つ構造である。ヒトの場合も同様で、肺から戻ってきた動脈血は直接身体に送られ、戻ってきた静脈血は肺に送られる。

ヒトの心臓の位置

 ヒトの心臓の位置は胸腔内の縦隔下部ほぼ中央に存在する。心膜が包む形で形成される心嚢の中にあり、前胸壁と食道に挟まれている。大きさは握りこぶし程度で、形はおおまかに逆円錐状である。その軸は左斜め側に傾いており、下部は左側に傾き、肋骨の左側第5肋間から鎖骨中線の間に位置する。このため、左側の肺は上葉・下葉からなり、中葉を欠くことになる(参照:本シリーズ21肺)1)。

 心臓を包む強靭な結合組織性の嚢が心膜であり、この膜により心臓は他の器官と隔てられてる。心膜は漿膜性心膜と線維性心膜より構成される。前者は臓器間を埋める繊維性結合組織の一部でできている。これによって心膜は、前面で胸骨の裏と、底で横隔膜の中央にある腱の真ん中上部にしっかりと固着されている。内側では心筋肉と接触している。漿膜性心膜(心外膜・臓側膜)は繊維性心膜の内側にあり、心膜を内張りする役目を負っている。漿膜性心膜の内側には心膜腔というすきまがあり、内側には液体の漿液(心膜液)が存在する。この液は心臓の拍動から生じる摩擦を低減する効果を持っている。

心筋

 心臓を動かす厚い筋肉が心筋である。骨格筋と同様にアクチンとミオシンのフィラメントが滑走して動く横紋筋である。ただし、多くの枝分かれ構造を持ち互いに境界膜(介在膜)で電気的に連絡し、まるで1つの大きな細胞のように同期する機能的合胞体となっている。
1) 本シリーズ:肺 https://note.com/yokko752/n/n5cc2a5e1d790

 最後に心臓に関することわざと四字熟語を紹介しよう。
*ことわざ
心臓が強い      心臓が弱い      心臓に毛が生えている
心臓が飛び出る    心臓に悪い      心臓破り
*四字熟語
五臓六腑      胆戦心驚      彫心鏤骨     鉄心石腸

*食品なんでも相談所 横山技術士事務所
*3頁目 発酵食品もの知り講座
*4頁目 大豆総合研究所
*技術士受験指南(農業)目次 技術士受験指南(農業)
*中国ひとり歩記 目次 中国ひとり歩記
*吉祥寺サバイバル 目次 吉祥寺サバイバル
*働くヒト器官 目次 働くヒト器官

いいなと思ったら応援しよう!