目玉焼き。
朝、7時。
下の階から家族の話し声が小さく聞こえる。フクロウが鳴き止んでいる頃。
足がゆっくりと階段を降りる。このスピードは睡眠欲と食欲を天秤にかけた結果。
手がドアを開く。口が「おはよう」と発する。そこには見慣れた光景があった。
こっちを見て一言交わす家族。それに米、味噌汁、サラダに目玉焼き。
心拍数は上がらない。下がらない。
刹那、身支度が終わっていた。意識するまでもなく家を出る。退屈な日常。
7時40分。
朝、7時30分。冷蔵庫から米を取り出しレンジで温める。卵を割り油を敷いたフライパンに入れる。
黄色い部分が固まるまでそのまま待つ。気づくと白い部分が黒くなっていた。
おかしいな。答えを見てみる。
「…白身が固まり始めたら水を入れて蓋をして下さい。…」
嘘つき。目玉蒸しじゃないか。
目玉蒸し、か。
ん。
フクロウはもういない。