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祖父母の庭で紅葉狩りしたはなし。

12月の上旬は、祖父母が残した広い庭で紅葉狩りBBQ。
家族の恒例行事となりつつある。

祖父母はともに他界していて、今では広い土地と祖父が学校のような広い家に憧れて建てた一軒の平屋が田舎の山奥に残っている。

主なしとて春な忘れそとは本当で、自然の生命力は侮れず、今でも花々や木々たちは規則正しく季節を彩ってくれている。
夏には草が生い茂って身動き取れなくなる程で、週末になると定期的に父が手入れをしに行くようになった。

おかげで畑も庭も心地よく快適に過ごせる場所となっている。
ゆくゆくは、サウナ小屋を建てて欲しいなとサウナ―の娘は要望している。
本物の自然に囲まれてととのえるなんて、この上なく贅沢ではないか…。

さて、サウナーであり、カメラ女子でもある私は、今回の家族行事にオールドレンズをお供にした。それが、なんとも最上級の出来栄えで。

秋も終わり、冬本番を迎えようとそわそわしている今の時期に、祖父が植え育てた紅葉たちと家族BBQの様子をオールドレンズの写真で記録しておこうと思う。

清々しい秋晴れ
紅葉は見頃。シャッターを切る手が止まりません。
焚火は火起こしから。熾火(おきび)を作ってBBQの火に使います。
焼肉からステーキまで。焼き野菜も炭火でじっくり。
外で焼いて食べるとなんでこんなに美味しさが倍増するのでしょうか。
祖父が何気なく植えたイチョウの木は、シンボルのように大きくなっています。
イチョウの葉一枚を切り取るのも
全体を切り取って一部がボケているのも好みです。
紅葉は光が透けて見えるのも見とれる。
紅葉の赤が透けながらも、奥ではイチョウの黄色が玉ボケ。
目を奪われます。
午後の昼下がりには、おやつ時間。
この日のために、調達してきたカウンティーのお豆で珈琲を淹れます。
お豆を挽くところから。外でも華やかで繊細な香りがふわりと漂う至福のとき。
珈琲と甘味を楽しんで、カメラ女子が再始動。
オールドレンズの強みはやっぱり玉ボケですね。
バラを透かして、周りをぼかして、玉ボケができて、霧みたいな空気も入っちゃって。
でも、どこにもピントが合ってなくても、オールドレンズの良さが際立って。
これは寝起きのまどろみの中って感じがするんです。
ハンモックを吊るして、母は揺られながら読書。下に広がるのはイチョウの絨毯。
冬の花といえばサザンカ。
寒い冬に紅の花びらを見ると、心の中で気持ちが高揚する。
「くしゃっ、クシャッ、」落ち葉を踏みふみ心地いい音。
最後は真っ赤で締めくくり。


時間帯によって光の入り具合が違ったり、切り取り方で見え方も変わったり。ピントを合わせて探っている、あの瞬間に私は幸福を感じるようです。

今は亡き祖父ですが、祖父が植えてくれた紅葉やイチョウのおかげで秋を満喫することができ、祖父が割っていた薪で火を起こすことができ、祖父を次いで手入れを続けてくれている父のおかげで家族行事が開催できました。

あのサザンカは、祖母を思い出す花で、鮮やかで丸みを帯びた輪郭が「よう来たねぇ~」と本当に嬉しそうに笑って迎え入れてくれる姿と重なります。

「このイチョウの木はね、」
「紅葉はあの頃、」...と父が語る思い出話の端々で祖父母の面影が蘇り、まだ母屋の中からゆっくりと歩いて出てくるのではないかと思うくらい。

一緒にBBQできたらよかったね、と悔いながらも
今でもこうして祖父母の住んだ場所に帰り、家族の時間が過ごせていることが嬉しくもある。

大自然と、家族と、ありがとうの気持ちに包まれて、
私の中で芽吹いた幸福という感覚はいつまでも鮮明に残り続ける気がします。

それに気づくのはきっと、

時折見返す、写真たちのおかげでもあるのかな、と思うのです。


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