富士見ノベル大賞に入選した話
お久しぶりです。
これまで小説スクールの体験記を書いておりましたが、
実は2023年10月に第6回富士見ノベル大賞にて、私の書いた小説
『平安助産師の鬼祓い』が入選致しました!
そして2024年7月12日、富士見L文庫様より刊行予定です。
これも応援して下さった皆さまのおかげです。
本当にありがとうございます!
表紙イラストはセカイメグル先生が担当して下さり、この上なく美しいです…
美しいだけでなく、物語の根幹やテーマをしっかり汲み取って下さっているので、ぜひお手に取ってご覧ください…!
Amazon.co.jp: 平安助産師の鬼祓い (富士見L文庫) : 木之咲 若菜, セカイメグル: 本
楽天ブックス: 平安助産師の鬼祓い(1) - 木之咲 若菜 - 9784040754833 : 本 (rakuten.co.jp)
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そのため、各販売サイトからのご予約などお願い申し上げます。
どうか応援、よろしくお願いいたします!
そして、せっかくなのでこの機会に、受賞作の創作時の様子や心境を振り返りたいと思います。
これまでのあらすじと、プロット作り再び
小説が書けるようになりたいと、小説スクールに通っていた私は、
長編制作に取り組んでおりました。
初めて10万字超えの長編に挑戦した話|murasaki (note.com)
実はこちらの記事、2022年の富士見ノベル大賞の出来事でした。
その時は最終選考まで進み、惜しくも落選となったのですが、わりと切り替えは早く、ひとまず次の作品にとりかかろう!と思いました。
というのも結果がわかったのが10月の終わり。
次の3月で小説スクール(専門学校)が卒業だったので、落ち込んでいる暇がなかったからです。
目指したのはもちろん、2023年の富士見ノベル大賞でした!(5月〆切です)
前回の作品が最終選考まで進んだことを考えると、カテゴリーエラーではないようだったので、まずはそれを踏まえたお話を考えようと思いました。
前回応募した小説は、現代医療とファンタジー要素の交じったお仕事ものでした。
そこで日本の医療の歴史について改めて調べることにしました。
すると奈良時代に宮廷で女医という、今でいう看護師や助産師の仕事をしていた人がいたという記述を発見。
そこに当時の病気=鬼や物の怪の仕業という考えであったことを思い出し、鬼が見える助産師の話を書いてみようと思いました。
平安時代を選んだのは、私が好きな時代であり、陰陽師ものが好きなので、この組合せで書きたい!と思った理由が大きいです。
そしてやはり陰陽師といえば、安倍晴明でした!
ヒロインである平安時代の助産師が、生まれる命を守るために安倍晴明と共に奮闘する物語。
お話の大まかな筋は、この時点で思いつきました。
しかし、ふと不安がよぎりました。
それまで私は現代を舞台にした話を書くことが多く、平安時代は書いたことはありませんでした。
好きな時代とはいえ文化も常識もわからないことだらけです。
さらにその時代の助産師という専門的なお話をどこまで書けるのか、本当に未知数でした。
もし賞を狙うなら、得意な世界観で勝負した方が良いんじゃないか?という考えが浮かんだのは、一度や二度ではありません。
けれど、そんな気持ちでは書ける話の選択肢も狭まってしまう。
賞云々より物書きとして成長したい!
そう思った私は平安時代×助産師という新しい領域に挑戦することにしました。
前回よりも大変だったこと、工夫したこと
まずは資料集めです。図書館に通って、平安時代を舞台にした話や資料を読み漁りました。
また京都の博物館に行ったり、平安が舞台の映画を見たり、多面的な方向から調べました。
助産師関連の話も専門書を読んだり、過去の勉強を振り返ったり、時に当時の医療知識とのギャップに悩んだりしつつ、書き進めていきました。
(部屋に資料がたけのこのようにいっぱい積まれました。)
今回気を付けた点としては、主人公が話の中心として動くようにすること、でした。
前回の選評に具体的なアドバイスを書いて下さったので、それらを読み込みました。
主人公である助産師・蓮花が優しくも芯の強い女性として物語を引っ張ってくれたのは、ここを意識したことが大きかったからだと思います。
学校の他の制作もあって忙しく、集中して書くために、皆が帰った後も教室に残って執筆を進めていました。
3月には卒業して、今度は一人で頑張る環境だったのですが、応援してくれた皆の言葉を胸に、『自分が自分を信じないでどうする!』と言い聞かせながら書いていました。
そして5月。応募が完了した時は、諦めそうになったり、怠けそうになったりする自分の弱さに負けずに頑張れた…!という心境でした。
書き終わってみると、小説スクールに入学して、卒業して、その間ずっと頑張り続けていたので、よくここまでのお話を書けるようになったな…としみじみ思ったものです。
書いたキャラクターたちも本当に愛しくて、このお話に出会うことが出来て良かったと、心から感じました。
その後、選考は無事に一次、二次と進んでいきました。
安堵と緊張を繰り返しながらも、私の本音は「今回は難しいかもしれない」でした。
平安時代という世界観で説明が多いのではないか、医療やファンタジー要素が上手く伝わるだろうか、と不安だったのです。
せめて去年と同じところまでいってほしい、選評を知りたい…!と思っていました。
その願いは伝わり、無事に最終選考に残ることが出来たのでした。
選考結果を伝えられ…
そして夏が終わり、秋も深まった某日。
選考の結果は電話で教えて頂きました。
去年の経験があったからか、「今回の選考結果ですが」と言われた瞬間、脳が反射的にショックを和らげようとしたのか『落ちたかもしれない』と頭によぎりました。
だから直後に「入選しました」と言って頂けた時は信じられなかったです…!
入選や佳作の違いが、この時は混乱してよくわからなくなっていたのですが、受賞作品として選んで頂けたのだとわかりました。
「去年が惜しい結果だったので、より嬉しい気持ちが強いです」
とお伝えしたところ、選考会でも「去年よりも良くなっていた」と言ってもらえていたことを教えて頂きました。
頑張った努力を評価してもらえたのだと、感じることが出来ました。
受賞した結果を小説スクールの先生にお伝え出来たのが、本当に嬉しかったです!
すごく喜んで頂けて、恩を少しでもお返しすることが出来て良かったと思いました。
応援して下さった方々からもたくさんおめでとう、と言ってもらえて、とにかく感謝の気持ちでいっぱいでした。
小説の勉強をしたいから専門の学校に行く、そう決めてから3年の月日が経ちました。
皆さんの応援があってここまで来られたのだと思います。
本当に諦めないで良かったです…!
「平安助産師の鬼祓い」あらすじ
――少女は、その目で鬼を視て、その手で命を紡ぐ――
彼女が関わるお産は安産になる……
「産神の祝福を授ける助産師」と評判の少女・蓮花は、体の内外に蠢く微細な「鬼」が視える特異体質の持ち主だった。
その評判から異例の抜擢を受け、蓮花は帝の子を取り上げるため、気性が激しいと噂の女御に侍ることに。
鬼は視えるが祓う力は無い彼女は、とあるお産で鬼を退けてくれた安倍晴明と名乗る陰陽師の青年を思い出す。
意を決して陰陽寮を訪ねるも、彼は蓮花にある条件を出してきて…。
鬼を視る助産師の少女が、命と歴史を紡ぐ平安医療ファンタジー!
今でも不思議な心地でいますが、まだここからが始まりです。
6月現在、出版に関わるサーバーダウンが起こってしまっていますが、粘り強く頑張るのは得意です。
色々なことを学びつつ、良い作品が書けるよう小説家として精進していきたいと思います!
どうか、応援よろしくお願い致します!
小説家・木之咲若菜