喪失体験後の「心の地図」を持つ(中編)~償うってなんですか?向き合うってなんですか?~
こんにちは、あさひです(^^)
今日も交通事故加害者の心情について考えていきます。
今回は前回の続きです。
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前回、『大切な人を亡くしたあなたに知っておいてほしい5つのこと』の中で目にとまったこちらの文章を紹介しました。
そのうち1つめの不安について書きました。
交通死亡事故を起こして実際に感じた、心理的に、刑事手続き的に、いったいいまどこにいるのだろうと道に迷う不安。
そして、今回はもう1つの、『どの方向に向かって進めばいいのか』について抱いていた不安について書こうと思います。
迷走していた事故直後~(実際のTwitter)
交通死亡事故を起こして、『どの方向に向かって進めばいいのか』本当にわからず、気持ちばかりが焦っていました。
当時の心の声はTwitterに吐き出していました。
以下は出頭1カ月前~約1週間前のわたしのTwitterです。
身近な人からの言葉、ネットや書籍で見かけた被害者の声、ネット上の人の声で私を混乱させたのが
「(一生かけて)償ってほしい」
「事故や自分と向き合いなさい」
という言葉。
何が辛いって、これ、めちゃくちゃ抽象的じゃないですか?
具体的にどうしたらいいの?って聞いても、
「それは自分で考えなさい」
と言われる。
償うってなんですか?
償うってなに?と思い辞書で調べました。
とても単純に考えます。100万円を盗んで、100万円をきちんと返す。これはわかりやすく弁償してますよね。ケガをして100万円の治療で完治した。その治療費を全額負担した、これも弁償出来てると思います。
じゃぁ、人の命や幸せな日常、明るい未来を奪ったら、いくらで弁償できるんですか?いくらお金を積んだって戻ってこないのに!!
お金に代えられないものを奪ったら、どう償えばいいの!??
刑務所に行けば償えますか?
私が数年だけ刑務所で辛い思いをしたって、亡くなった人は生き返りません。私が辛いぶんだけ、被害者・遺族が幸せになれるとも思えません。
目には目を?
被害者が死んだら、加害者も死なないと償えないですか?
でも、なんとなくそれは違う気がしました。
一生かけて償う?
一生被害者にお金を払い続ける?謝り続ける?
哀しいと感じ続ける事が被害者や遺族に対する償いなら、一生かけて償うということは死ぬまで幸せになるなということですか?
償えって、何をすればいいんですか。
向き合うってなんですか?
「向き合え向き合えってみんな言うけどさ、何に向き合うの?被害者?自分のしてしまったこと?自分自身?」
「直視って何?自分のしてしまったことの責任に押しつぶされそうなのに、まだ足りないの?見たりないの?」
「頭で考える分には、もうさんざんやったよ。償い方もわからないのに、これ以上何をどう考えればいいの?」
事故が起こってから、常に事故のことを考えていました。
(なので私のハンドルネームには「かんがえる」と入っています)
でも、考えることと向き合うことは違うようで、いくら事故との向き合い方について考えても、どうすればいいのかさっぱりわかりませんでした。
向き合うって、どうすることなんですか?
”一生解決しない問題”を抱える不安
問題解決にあたり、人が行動を起こすメカニズムについて考えてみます。
まず解決したい問題・欲求があって、それを満たすための行動をとりますよね。たとえば、
ここで重要なのは、ゴールがわかっていないとどう行動していいのかわからない、身動きが取れないということ。
先ほどの話に戻ると、私は「償わなければならない」「向き合わなければならない」という問題を持っていましたが、何をもって完了するのかというゴールが全くイメージできなかったので、どう行動すればいいのかわかりませんでした。だから、頭はフル回転していても、実感としてはまったく前に進めていませんでした。ずーっとその場で足踏みしている感じでした。
でも、周りからはゴールに向かって走れ!と急かされているようで、いっそう一歩も進めていない自分に焦りを感じました。
そして、どうにもならないイライラが積もりに積もり、人を殺したこともないくせに!何がゴールかも知らければ、考えるつもりもないくせに、簡単に「償え」とか「向き合え」とか言わないでよ!と、周囲の事故当事者ではない人たちにとても腹が立ちました。
そして、ゴールが見えないと、ゴールなんて無いんだと思い、きっとこの問題が解決することは無いんだ、一生考え悩み続けなければならないんだ、きっとそれが償いなんだ、と思うようになりました。絶望。お先は真っ暗でした。
今回はこの辺で。
最後までお読みいただきありがとうございましたm(__)m
次回は、そんな迷走していた私が、受刑生活を経て、とりあえずたどり着いた、この不安の持っていき場所、目指すゴールについてお話ししようと思います。
ではまた!