十三夜の月　曇り空

今夜は十三夜
お月見の準備がととのいました。

ですが

あいにくの曇り空です。

東の空
山の際から

月がのぼりはじめた頃

ほんのすこしのあいだでしたが
雲が薄れていたのです。

だけど

かわうそばけるくんは
焼き栗を並べていて

先ほどの月を
見そびれてしまいました。

いまでは
空いっぱいに
雲がひろがって

月の姿は
見あたりません。

さっき見た月でよし
としましょう。

うそぴよボンジリーヌちゃんたちは
蔵の中に戻っていきました。

かわうそばけるくんは
あきらめきれません。

先月に見た
十五夜の月と

今夜
十三夜の月

どうしても
合わせて見ておきたいのです。

両方
見られたら

縁起がいいんだ。

いつまでも
ひとり
縁側で粘る
かわうそばけるくんのもとに

一反木綿が
生姜のスライスを入れた
化け出しコーヒーを
届けてくれました。

雲の一部が
明るく輝いています。

あの雲の向こう側に

十三夜の月が
隠れているのです。

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