![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/97938465/rectangle_large_type_2_887f11e4b329a92b821c98eb2f41ed24.jpeg?width=1200)
Kindle本「カフカの『断食芸人』を読み解く」を出版しました
Kindle本を出版しました。「カフカの『断食芸人』を読み解く」です。『断食芸人』の翻訳とその解釈を1冊にまとめています。
『断食芸人』は、後期のカフカが作家としての自分の生き方を振り返っている作品です。
断食芸人は、断食を見せ物にすることで生活の資を得ています。藁を敷きつめた檻に入り、少量の水以外には一切の食物を摂りません。断食芸は絶大な人気を誇りますが、当の断食芸人は不満を抱えています。それは40日で断食をやめなければならないからです。彼は無限に断食を続けることができると主張しますが、断食を続けることは興行師が許しません。しかし興行師と別れ、サーカスに雇われるようになると、自分が望むだけ断食を続けることができるようになります。これまで誰も達成したことのない断食記録を打ち立てようとするのですが……。
この作品の結末部分にはよくわからないところがあります。
1.なぜ断食芸人はサーカスの監督に向かって赦しを乞うのか
2.結末における断食芸人の言葉は何を意味しているのか
3.豹にはどのような意味があるのか
4.そもそもこの作品は何を描いているのか
などです。
本書の「解釈」篇では、これまでの主な解釈を概観した上で、これらの疑問に一つ一つ答えていきます。そのさいの観点となるのは、カフカと「世間」との関係です。
「補足」では、カフカとミレナの恋愛関係を詳述しています。『断食芸人』の伝記的背景が理解できます。また、ミレナ宛の手紙に書かれた「愛とは、君が僕にとってわが身をえぐるナイフだということだ」という有名な一文の意味も明らかになります。
目次は以下のとおりです。全体は二部に分かれ、第一部は筆者による『断食芸人』の全訳です。第二部「解釈」と「補足」は、別に出版した『カフカ―世界への異和感』に書いたものが元になっています。一部手を入れたところはありますが、内容はほとんど変更していません。
カフカの『断食芸人』をまだ読んでいない人はもちろん、読みはしたが何が書かれているのかよくわからなかった人、カフカがどうしてこのような作品を書いたのか知りたい人、人間社会と隔絶して生きる生き方に触れたい人――そのような人に本書は向けられています。
【目次】
第一部 『断食芸人』(翻訳)
第二部 解釈
はじめに
一 これまでの解釈
二 作品に対する疑問
三 作品の考察
四 カフカに即して
むすび
補足 ミレナとの関わり
はじめに
一 関係の概略
二 関係のまとめ
むすび
あとがき