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クラレ#4:学校でも家でもない第三の居場所があれば…

学校の先生のはからいにより、クラレは週に1回、スクールカウンセラーとの1時間のカウンセリングを行うことになった。

最初は私も一緒に参加し、クラレと私とカウンセラーの3人でのカウンセリングを受けていた。

初回は全く話せなかったクラレだが、カウンセラーに対する印象は思いのほかよく、カウンセリングを続けて受けることを希望してくれた。

カウンセリングのどこが気に入ったのかをクラレに聞いてみると

「ママが私のことを誰かに話しているのを聞くのがおもしろい」

という返事がきた。(そんなものなのか・・・と思った)

そんなことを言っていたクラレだが、カウンセリングを始めて1ヶ月を過ぎる頃からは「一人でも大丈夫そう」と言って、私抜きでカウンセリングを受けれるようになっていった。

カウンセリングを一人で受けている時の様子を聞くと、カウンセラーと一緒に話をする以外にもトランプをしたり、模型の人形を並べて遊んだりしていると話してくれた。

クラレにとって、カウンセリングの時間はいい時間になっているのは確かなようだった。

登校前にお腹が痛くなったり、遅刻や欠席は相変わらず続いていたが、カウンセリングのある日だけはちゃんと学校に行けていることが、それを証明していると思えた。

▼第三の居場所を

スクールカウンセリングはうまくクラレにとって学校での居場所になりそうだったが、週に1回1時間だけなので、時間があまりに少ないと感じていた。

もっとクラレが行きたい時に自由に行けて、長い時間を過ごせる居場所があれば・・・
家でも学校でもない、第三の居場所がクラレには必要だと思った。

その候補として真っ先に思いついたのは『塾』だった。

クラレは遅刻や欠席が続いていて、中学に入ってからまともに授業を受けていなかった。
そのせいで定期テストの点数もどんどんと悪くなっていっていた。
2学期の中間テストでは5教科全ての点数を合わせても200点もなかった。

見た目ではそのことを気にしている様子はないのだが、授業についていけないことは、学校へ足が向かなくなる原因になっているはずだった。

学校でも家でも勉強しないクラレの学力を底上げするには『塾』か『家庭教師』しかないと思っていた。
それもクラレが気に入るような『イケメン』の先生であることが望ましい。
イケメンの先生に教えてもらえるなら、クラレのモチベーションも上がるかもしれない。

そうは思ったものの、とにもかくにもクラレ本人がその気にならなければ話にならない。
ダメ元でクラレに聞いてみた。

「クラレは勉強が遅れてること、気にしてる?」

「・・・うん。スマホ使う時間も短くなるし」

「じゃあさ、家庭教師の先生に来てもらのはどう?」

「え? 家に来るのは絶対に嫌やで」

「あ、そうなんや。じゃあ、塾は?」

「塾は人数多いのは学校みたいで嫌やけど・・・」

「個別塾ならいいんちゃう? 先生一人で生徒が1~3人くらいやし」

「・・・それならいいかな?」

「そう? じゃあ体験に行ってみる?」

「・・・うん」

想像していたより反応がよかったのが意外だったが、クラレも勉強のことは私が思っている以上に気にしていた様だ。
よしよし、これは幸先がいい!

しかし問題は、近所に個別指導塾が少ないということだ。
家の車は父親のS男が通勤に使っているので帰るまで使えないし、あまり遠くには行くことができない。
自転車で通える範囲にある個別指導塾は2ヶ所だけだった。

そんな訳で、この2ヶ所に体験の申し込みをしてみることにした。
どうかこの2ヶ所のどちらかにでもイケメンの先生がいますように!
切に願う私だった。

クラレ編 ⑤ に続く


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