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自治体による小・中学生向けの不登校支援「適応指導教室」のフリースクールがあるってことを知った!

中学校に進学してから不登校になった長女クラレ。

原因は中学校の先生の怖い雰囲気が、大好きだった小学校の先生とあまりに違っていた為、心を開くことができず学校に自分の居場所を見つけることができなかったのではないかと思う。

もともと友達付き合いが苦手で、同級生よりも先生や周りの大人との関係性の方が重要なクラレにとって、学校の先生とうまくコミュニケーションが取れないということは、学校での居場所が無くなるということと等しいはずだ。

一度閉ざしてしまった心を再び開くことは容易ではない。
どんどんクラレは学校に行けなくなっていった。

スクールカウンセリング、習い事、個別指導塾、児童精神科…
学校以外にクラレの「居場所」を見つけたいと動いてみたが、見つけられないまま、クラレは中学2年生の2学期を迎えていた。

学校に行かないとスマホを使えないという「家のルール」があったので、全く学校に行かない訳ではなかった。
だいたい午後からとか、6時間目の終わる少し前くらいに登校して、すぐに帰ってくることが多かった。

登校できなかった日は、晩ご飯を作るなどの家の手伝いをすることでスマホが使えるようになるので、とにかくスマホを使えることがクラレの原動力になっていた。

クラレが唯一、家族以外の誰かとコミュニケーションがとれる場所が「ネットの世界」にはあった。

・・・

オープンチャットという匿名の世界なら

クラレが家にいる時間に一番ハマっているのは、スマホを使った「オープンチャット」でのコミュニケーションだ。

大好きなアニメの推しキャラクターになりきって、他のキャラクターを演じる誰かと空想の物語の中でやりとりを楽しむ「なりきりチャット」と呼ばれるSNSだ。

クラレの好きなアニメは私もよく知っているし、なんなら私が見ていたアニメをクラレも見るようになって好きになったので、クラレよりも私の方がそのアニメについては詳しいくらいだ。

なのでクラレは「なりきりチャット」のやりとり中に、自分が演じている推しキャラクターの行動について「こんなこと言われてるねんけど、どう返したらいい?」とか「こういうセリフはおかしくない?」と私によく相談してくる。

最初は誰かが作ったオープンチャットに参加して楽しむだけだったが、次第に自分でオープンチャットを作り、管理人として自分のオープンチャットを育てることを楽しむようになっていった。

「荒らしが入ってきたからケンカして追い出してん」
「今50人まで増えたで!」
「イジられてる人が居るから守ってあげないと」

オープンチャットの運営とパトロールに忙しくしていることを話すクラレは生き生きとして楽しそうだ。
それはもう趣味というより「仕事」になってるんじゃないかと思えるほどだ。

管理人として運営するオープンチャットが10個、20個と増えて行き、人が集まるチャットや過疎っているチャットの話を毎日延々と私に話してくるクラレ。

私にではなく、同じ趣味を持つ友達と思いっきり好きなアニメやオープンチャットの話ができればどんなにいいだろう。

私では話す時間にも制限があるし、「親には話せないこと」だってあるはずだ。

家族ではない誰かと、時間を忘れて夢中になって好きなことについて笑いあう。
そんな経験をクラレはまだ知らない。

そんな存在と出会えれば、きっと未来は変わるはずだと思った。

「オープンチャットは誰もクラレのこと知らないし、年齢も性別も分からへんから何でも言えることろがいいねん。ケンカもできるし、言いたいこと言えるし。学校もクラレのことを全然知らない人ばかりのところに行けたらいいのに・・・」

そんなこともよく言っていた。

クラレが自分の思っていることを自由に表現できる世界を持つことはいいことだと思っている。

でも同時に匿名だから何を言ってもいい訳ではないし、匿名であっても人とのコミュニケーションである以上、守るべきマナーはあることを学んでいかねばならない。

好き放題やっているといつか痛い目に合う。
大きな傷も負ってしまう。
それはネットと付き合う上で誰しも通る道だし、痛い目に合って初めて気付くこともあるので必要なことだとも思っている。

ただ、ネットの世界だけに依存していると、唯一の逃げる場所さえ失ってしまいかねない。
それはとても恐ろしいことだ。

だからリアルの世界での自分の居場所を持ってほしい。
「ネットの世界」と「リアルの世界」両方に居場所を持って、それぞれの世界で大切だと思える人に出会ってほしい。

どちらかの世界で傷ついても、もう一つの世界が救いとなるために。

「リアルの世界」に背を向け「ネットの世界」にのめり込んでいくクラレを見ながらそう強く思った。

・・・

「適応指導教室」という選択肢

クラレに「リアルの世界」での居場所を見つけてもらう為、まだ調べていなかった『フリースクール』を検討してみることにした。

調べ出してすぐに感じたのが「料金が高い」だ。
自宅から通えそうな民間のフリースクールを調べると、月に5~6万円くらいかかりそうだった。
我が家の家計から払える金額ではなかった。

そしてフツフツと沸き起こる疑問と怒り

国の教育支援は普通に学校に行ける子どもを対象にしたものばかりなのはなんで?
授業料無償化も給食費補助もちゃんと学校に行けなければ無いのと一緒なんだけど?
しかも子どものサポートが必須な不登校の親は仕事にも行きにくくて、収入も学校に行ける子どもの家庭より少なくなりがちなのに!
こんなのは差別じゃないの?
不登校の子どもへの教育支援も学校に行ける子と同じようにあるべきでは!?

そう思ったら居てもたってももいられず、すぐに市役所へ飛んで行った。

市の学校教育に関する窓口へ行き直談判した。

「不登校の子どもの為の支援や給付金などの取り組みはありませんか?」

対応してくれた職員に

●中学校に入ってから学校に行けなくなっていること
●学校への相談は行っているが状況はより深刻化していること
●学校に通うことは難しい為、フリースクールを検討したいが料金が高額な為、利用できそうにないこと
●フリースクールへ通う為の補助金やサポートがあれば利用したいこと

を説明した。

職員の回答は

「残念ながら、今のところ不登校に対する支援や給付金といったサポートは行っていません。」

だった。
やっぱりか!!(泣)

やるせない気持ちになってうなだれていると、職員は続けて言った。

「でも、自治体が運営する「郊外適応指導教室(フリースクール)」を利用すれば、学校に通っているのと同じ出席扱いになりますし、学校と連携して学習面などの情報共有もできます。
現在のお子様の状況でしたら利用可能だと判断できますので、こちらから学校へ連絡しておくこともできますが・・・」

そんないい情報があるなんて学校からは聞いてなかったんだけど!?

そこでよみがえってくる、1年前の記憶・・・
そういえば学校内にある「校内適応指導教室」なるもののことを、クラレが1年生の3学期頃に担任から提案されたことがあった。

教室に入りにくい生徒を少しでも学校に来やすくする為に設けられていると説明を受け、繋げてもらおうとしていた。

でも「校内適応指導教室」に配置された先生は、通常クラスの授業と兼任して受け持っている為、「この日のこの時間に来てね」と1週間毎にスケジュール表を渡され、毎週違う曜日と時間でしか「校内適応指導教室」を利用できなかった。

しかも開催されるのは週に1~2回で1時間目のことが多く、不登校の子どもの為の教室なのに、何とも大人の都合に合わされているなという印象が強かった。

案の定、不登校なのにそんなピンポイントなスケジュールで登校できるはずもなく、クラレは1度も利用したことがなかった。

「校内適応指導教室」は全くダメだったが、「郊外適応指導教室(フリースクール)」ならば・・・

場所が学校ではないので新しい環境に行けることになる。(クラレの希望通り)
●周りは知らない人ばかりだから人間関係も新しく築いていける。(クラレの希望通り)
●来ている子どもたちも「学校に行けない」という共通の特性を持っているので、打ち解けやすいかもしれない。
●専任の先生が居るからクラレが心を開けるかもしれない。


クラレにとってはとてもいい条件の様に思えた。

なにより公営だから学校に登校するのと同じ扱いになるし、利用料金も学校と同じというのは魅力的だ!

私の答えは既に決まっていた。

「お願いします!」

こうして「郊外適応指導教室(フリースクール)」に繋げてもらうための準備が進められていった。

・・・


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