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家を出た日。もう後戻りはできない。でもワクワクドキドキしていた。

2024年3月後半。
小中学校の終業式前日のド平日。

ついに、私たち家族にとっての「決戦の日」がやってきた。

1ヶ月前に私は4人の子どもたちの父親S男と離れると決心した。

これ以上S男と一緒に住んでいたら長男(小6)はS男の支配から逃れられず、自分の意思を否定され続け、望まない野球をやり続けることになる。

小学校入学前から父親に言われるがままに野球を始めてから6年間、「辞めたい」と言っても辞めさせてもらえず、しつけという名の暴力と支配の元で耐えてきた長男が、「中学からは部活で楽しく野球をやりたい。オレは野球しかできないから。」と自分で決めたことも認めてもらえず、中学以降も父親の決めた外部チームに入れられようとしている。

このままでは中学だけでなく、高校も、その先の進路も、自分で決めるという当たり前にあるべき選択権が与えられない未来が待っている。

そんなことは許されない。
長男の人生は長男だけのものだ。
父親だろうが、勝手に自分の思い通りにしてはならない。

何度話しても私の言葉などS男には届かないし、学校や行政に相談しても無意味だった。

ならばもう離れるしかない。
そう決断した。

長男だけのためではない。
私ももうS男と一緒に生活することにホトホト嫌気がさしていた。

子どもたちが成長するまでは…と思っていたが、それまで到底我慢できなかった。

もう我慢は終わりだ。
毎日台所で「嫌い…  嫌い…  」
と無意識にブツブツつぶやく毎日とはおさらばだ。

私は私が望む未来を子どもたちと歩みたい!

𓂃◌𓈒 𓐍 𓂃◌𓈒 𓐍 𓂃◌𓈒 𓐍 𓂃

決行日当日

その日の朝はいつも通りだった。
私はいつも通りに朝起きて、洗濯をして、朝食を作る。

S男もいつも通りに起きて、朝食を食べ、仕事へ行く準備をする。

私は心の中で祈っていた。
どうか、このまま何事もなく仕事へ行って…!
S男が仕事に出掛けさえすれば私の勝ちだ。

「行ってくるわ。」
いつもの言葉とともに、S男が玄関へ向かう。

「行ってらっしゃい・・・。」
いつも通り無機質に言って見送る。

バタン
ドアが閉まった。

しばらくジッとして様子を見る。

・・・忘れ物を取りに戻ってくる気配もない。

ヨシ!! 私の勝ちだ!!
行動開始!!

「みんな! 起きて! 行くよ!!」

子どもたちを叩き起こし、急いで朝食を食べさせて最後の荷造りをする。

夕方には目的地に到着したいので、午後2時台くらいの新幹線には乗りたい。

隠しておいたバッグを引っ張りだして、急いで最後の荷物を入れていく。

当面の生活で必要になる荷物は既に実家に送っているが、実家に行くのは4日後なので子ども4人と私の3泊4日分の荷物を持って移動しなくてはならない。

午後をかなり過ぎた頃、ようやく荷造りが完了した。

いざ、出発だ!

家を出る直前、長男がS男に「週末までに準備しとけ!」と言われていた新しいチームへの入団届の用紙の裏に何か書いていた。

” パパ ごめん ”

長男から父親への精一杯のメッセージだった。
長男はメッセージを書いた用紙を野球バッグの上に乗せた。

こうして、私と子どもたち4人はついに家を出た。
向かうは、西にあるテーマパークだ!

この日のことを子どもたちが思い出す時に、できるだけ楽しい記憶として残っていてほしい。
だから今日から3泊4日は思いっきり家族旅行を楽しむのだ!

𓂃◌𓈒 𓐍 𓂃◌𓈒 𓐍 𓂃◌𓈒 𓐍 𓂃

最初の連絡

父親S男が仕事から帰ってくるのは夕方18時半頃だ。
連絡がくるならこの時間だろうと予想していた。

電話はブロックしているが、LINEは繋げていた。
既読することで「生きてる」ことを知らせる為なので、会話するつもりはなかった。

思ったとおり、18時半を過ぎた頃にLINEの通話着信音が鳴った。

私は出ない。
切れたと思ったらすぐにLINEのテキストメッセージがきたが既読スルーだ。

しばらくLINEの着信音が鳴り続いていたが、私がガチシカトを決め込んでいたので、次は長女のスマホが鳴りだした。

長女には事前に「居場所さえ伝えなければ、パパとやりとりするのはかまわない」と伝えていた。

私に取りつく島がないと悟ったのか、私への連絡はあきらめ、連絡のとれる長女の方へひっきりなしに連絡がきていた。

後で長女にS男とのやりとりを聞いたところ、S男は私たちが実家に行っていると思っているらしく、実家に連絡したそうだ。

実家の母から「来てない」と言われたが、かくまっていてウソをついていると思っていて、長女に「神戸で羽延ばしてきて」と連絡がきたらしい。

私の方にも、時々LINEでメッセージがきていたが、どうもS男は私たちが一時的に実家に行っただけで、すぐに戻ってくると思っている様子だ。

「いつまでそっち(実家)に居るの?」
「週末はどうするの? (野球の)予定が入ってるんやけど。」

という問い合わせがくるばかりだ。

激怒して暴れられるよりはマシだけど、この勘違いが続くようなら再度こちらからキチンと伝えなければならないと思った。

結局、目的地に到着したのは夜9時を過ぎてからだった。

大荷物を持って、子ども4人を連れての長距離移動はめちゃくちゃ大変だった。

途中、新幹線で降りるべき駅を乗り過ごすというハプニングが起こり「詰んだ」と思ったが、運よく次の停車駅で特急電車に乗り継ぎができて助かった。

5人でのドタバタ珍道中ではあったが、子どもたちは人生で初めての新幹線に乗り、初めての場所へ行き、みんなでハプニングを乗り越えて、今までにないようなテンションで楽しんでいる様子だった。

S男からの連絡が来てからは「パパ、どうしてるかな?」と心配したり、特に次女は「パパに怒られる、怖い…!」と不安がる場面もあったが、その度に「こどもたちにパパが怒ることは絶対にないから、大丈夫!」となだめた。

家を出て一番のびのびとしているのは、やはり長男だった。

今回の旅行で初めて好きなだけ夜更かしして(週末も野球で夜更かしは許されない)、初めて自分で自分の好きな食べ物を好きな分だけ食べれて(食べるもの、食べる量も父親にコントロールされていた)、生き生きとしていた。

そして、家を出てから4人のきょうだい達がお互いに協力して助け合う場面も多く、絆が深まったように感じた。

私はというと、これから乗り越えなければならないことへの不安よりも、ずっと思い描いていた未来への最初の一歩を踏み出せたことへの喜びの方が断然大きかった。

何があっても戻らないし、絶対に負けはしない。
ドキドキしていたが、同時にワクワクもしていた。

今日からが、私の人生の新しいスタートなのだ。

𓂃◌𓈒 𓐍 𓂃◌𓈒 𓐍 𓂃◌𓈒 𓐍 𓂃

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