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仕事算で本当に学ぶべきこと
算数でよく出てくる問題に仕事算というものがある。いろいろなバリエーションがあり、池に水をためるなんてものもある。
現実にありえるシチュエーションだし、「実生活にも役立つ、しめしめ」なんて感じで算数の担当が出題文を考えるのだろう。
ほんとうによく出てくる問題なのだが、そのたびに思考停止してしまう。現実にあり得るような設定のようでも、本当はあり得ないからだ。私のような人間には、むしろ社会経験が問題を解くのを邪魔する。
くどくど書いたが、以下の問題をじっくり眺めていただきたい。
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なんで女子中の問題ばかり選ぶのかと思うかもしれない。子どもは男の子なので、女子校は受けられない。だから解けなくてもがっかりしないだろう。それに、一般的に算数が苦手と言われる女の子が、こんな問題やすやすと解いているんだと遠回しに教えたい気持ちもある。
まあ息子はたいてい、「へえ、すごいね」程度で終わってしまうのだが。
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私はどう考えたか、数学の専門家からは笑われるだろうが、まずは2人の仕事にかかった時間を比率にし、半々で仕事をしたと仮定してみたが、これでは答えが出ない。
それならと仕事量を1と仮定して、2人のかかった時間で割ってみた。
仕事量を1にして考えるのは算数の定番だ。
ただ。割り切れない小数点が出て、これもアウト。ただ、算数オンチの私でも、無理に小数点にしないで工夫すれば、この方法で解ける可能性を感じるのだが、それ以上発想できなかった。私大文系の限界だ。
子どもはこの問題を塾で学んでいて、解ける。説明を聞いたが、テクニックだけで理屈まで頭に入っていない。しかたない、解答を見て頭を整理してみた。
つまりは最小公倍数を出して、それを今回の仕事量とする。それを2人がかかった時間で割ると、作業能力の割合が出てくる。
ここらへんが、算数っぽいと言うか、数学っぽい。つまり、早く仕事を終える人の方が仕事をこなす割合が多くなる。当たり前だよね。エクセルを早くこなせる人は人事評価も高くなる。人事評価が10点満点なら、兄は7点、太郎は4点しか貰えないってことだわ。
ここまで分かった。
そこで仮に、仕事が早いキビキビ兄が全26分仕事をしたとすると、仕事量は182になる。書類が瞬く間に消えていく。
実際は140ってことだから、差は42。
兄と太郎の作業能力の差は毎分3ずつ開く。足を引っ張って42仕事をできなくしたってことだわ。
きっと同僚に雑談しかけたり、タバコを吸ったんではないかな。人間的でいいけどね。
さて解答に近くなってきた。ワクワク。
42割る3で12。ダラダラ太郎が仕事をした時間が割り出せた。ここまで1時間。できる子は1分でできるだろう。
しかし学校の先生に言いたい。まあ、普通会社で同じ仕事を2人の人が引きついで進めるなどということはありえない。
この問題は単なる計算だけでなく、チームワークの問題、もしくは組織管理の問題として教えるべきだろう。作業能力に差のある2人を使って、どうやれば効率を上げて仕事ができるようにするか。小学生にそう教えたら、効果があるはずだ。最小公倍数を割るという、裏技っぽいことを教えるだけでいいのか。
私は、この問題を解いた息子に「実際は2人で協力した方がいい」、「仕事が遅い人はサポートしてやれ」「仕事をする前には、みんなで雑談して和気あいあいの雰囲気を作れ」と言ったが、あまり響いていない感じだった。将来、働くようになったら仕事算は忘れていいから、協力しろといった親の言葉を思い出してほしい。
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