日本で消えつつあるリアル書店について考えた。
私は本を読む、もしくは眺めるのが唯一といってもいいほどの趣味だ。だから書店に行くのは楽しい。週に数回、家の近くのTSUTAYA書店に行く。
でも、個性のあるリアル書店も大好きだ。わざわざそういう本屋さんを探して旅行することさえある。近年、そういう「おれは、これを読んでほしいんだ」「とにかくこれを読め」という、気迫のこもった本屋さんが消えている。
そこで個人的にまとめてみた。これを書いたら、今日も書店に出かけよう。ここに出ている情報はいずれもネットや新聞からです。
今書店は危機的状態ですか。
そうですね。そう言えるでしょう。この10年で、書店の数は約3割減少しました。2020年5月1日時点での書店数は、1万1024店になりました。特に、100坪以下の中小の書店の閉店率が高く、目立ちます。
書店員の聖地と呼ばれ、視察が相次いでいた鳥取の定有堂が閉店しました。
そうでしたね。雑誌では、しばしばこの書店のオーナーがインタビューされていました。定有堂書店は、2023年3月31日に閉店しました。
閉店の理由は、経営難や後継者不在などが挙げられています。定有堂書店は、人文書を中心としたこだわりの品ぞろえや印象的なポップで知られ、全国から同業者が視察に訪れる「書店員の聖地」となっていました。
店は終わりになりましたが、ホームページは残っており、名物の読書会は続いているようです。
地域の名物書店だった名古屋のちくさ正文館も閉店しました。
名古屋のちくさ正文館は、2020年5月31日にターミナル店を閉店し、2023年7月31日に本店を閉店しました。閉店の理由は、店舗老朽化やコロナ禍の影響などが挙げられています。
人文書や文芸書の豊富な品揃えや、独自のセレクトで知られる名古屋を代表する書店でした。
毎日新聞の記事が参考になります。店長さんの顔がいい。テレビドラマになりそうな感じがしますね。
大阪の高坂書店も惜しまれて閉店しています。
大阪の高坂書店は、2023年8月31日に鶴橋駅前店を閉店しました。1928年ごろに創業し、大阪府内で7店舗を展開していた老舗書店でした。
中でも鶴橋駅前店は、JR鶴橋駅の高架下にあり、40年間にわたって地域の人々に本を提供してきました。閉店の理由は、コロナ禍の影響や後継者不在などが挙げられています。
高坂書店についてもうすこし詳しく知りたいです。
数年前、鶴橋に行った時、確かはいったことがあります。朝鮮半島関係の本が充実していました。昭和の雰囲気の残る本屋さんです。
先にも書きましたが高坂書店は、90年以上の歴史を持つ名物書店でした。1928年ごろに創業した草分けの老舗書店です。1942年の文献にも同名の書店が見られますが、当時は天王寺区市電桃谷駅前にありました。
1982年に現在地の鶴橋駅前に移転し、3代目社長の高坂喜一さんが経営していました。高坂書店は、一時大阪府内で7店舗を展開していましたが、2023年6月に八尾萱振店が閉店し、鶴橋駅前店が最後の店舗となりました。
今年閉店したブックスページワン宮原大宮店も、名物書店でした。
そうですね。本のチェーン店でも、個性を発揮することはできるんですね。同店は、東京都を中心に展開する書店「ブックスページワン」の店舗で、埼玉県内では唯一の店舗でした。
残念ながら店内が分かる写真は、ネット上には残っていません。
人気の秘密は駅前にあり、ラノベが早く手に入ること。そして店の店頭に置かれた手書きの黒板アートだったようです。
惜しまれながら2023年8月20日に閉店しました。
閉店の理由は明らかにされていませんが、コロナ禍の影響や地域の人口減少などが要因となった可能性があります。
そもそも書店の価値とは何ですか?
なるほど。そこから考えるのが大切でしょう。
私は、本の選び方や読み方のヒントを与えてくれるという点だと思います。
書店には、本の内容や作家のことを知っている店員さんがいます。また書評やおすすめを紹介するPOPなどがあります。
これらは、読者にとって本を探したり、読んだりする楽しみや発見の機会となります。
紙の本には、電子書籍にはない魅力もあります。本の表紙や装丁、紙質や重さなどは読書欲をそそります。さらに、書店には、読者同士の交流や出会いの可能性もあります。
書店で同じ本に興味を持った人と話したり、書店主催のイベントやサイン会に参加したりすることで、読者は本を通じて人とつながることができます。これらの価値は、書店が持つ独自の魅力だと思います。
実際に、こういう、書店での交流をテーマにした小説がたくさん書かれています。
書店を守るため、外国ではどんな政策がありますか。
意外にも海外では政治が、書店保護に乗り出しています。
例えば、中国では、政府が国策として読書を推進し、書店に補助金や税制優遇などを与えています。また、書店は、本の販売だけでなく、カフェやイベントスペースなどを併設して、多様なサービスを提供しています。
アメリカでは、書店は、ネット書店との競争に負けないために、地域のニーズに応える品揃えやサービスを工夫しています。また、書店は、出版社や団体と連携して、インディペンデント・ブックストア・デーなどのキャンペーンを行っています。これらの政策や取り組みは、書店の生き残りに役立っていると思います。
フランスの反アマゾン法は話題となりました。
さすが文化の国です。この法律はネット書店の無料配送を禁止するものです。米国資本であるアマゾンの文化支配を許さないという面もありそうです。
韓国でも、手厚い書店支援があるそうですね。
法整備によって2014年から「図書定価制」を強化し、割引率を一律10%、ポイント還元などを合わせても15%以内に制限。小さな書店の経営が成り立つ余地が生まれたと報じられています。
けっこう地方に個性のある書店が生まれています。
読売新聞に詳しい記事があります。
日本での書店支援策について教えてください。
日本での書店支援策には、以下のようなものがあります。
オンライン書店e-honとの共同取り組みで、希望の書店を「My書店」として登録し、送料無料で注文品を届ける仕組み。
全国書店再生支援財団は、新型コロナウイルスの影響で休業した書店に、1書店あたり5万円の特別定額給付金(見舞金)を支給しました。
また文部科学省は、図書館での過剰購入を防ぐためのルール作りを検討しています。
自民党の議員連盟に対し、ネット書店の規制や図書館との連携などの要望が提出されています。
支援策はまだ始まったばかりですが、手遅れにならないよう早期の対策を望みたいです。書籍流通の仕組みも見直す必要があるでしょう。
一方で、古民家を改装した本屋さんに関心があります。そういう場所で1日のんびり過ごすもの良さそうです。
同感です。
古民家を改装した本屋さんは、東京都や京都府などにあります。例えば、杉並区にある松庵文庫は、本の販売やカフェ、レンタルスペースなどを提供しています。高円寺にある「本の長屋」は、本を媒介して人と人がつながる場所を目指しています。
京都・伏見にある絵本のこたちは、新刊の絵本が並ぶ本屋さんです。
松庵文庫はどんな雰囲気ですか?敷居が高くないですか?
私も行ったことはありませんが、ネットのデータによると、築80年以上の古民家を改装したカフェで、明るくオシャレな雰囲気と郷愁感が融合した空間だそうです。
テレビドラマのロケにも使われたことがあります。庭を眺めながら本を読んだり、モーニングやランチ、スイーツやドリンクを楽しんだりできます。ちなみにロケで使われたドラマは人気女優、深田恭子さん主演のドラマ 『ダメな私に恋してください(2016年)』だそうです。1度行って見ます。
他にもおすすめの古民家を改装した書店があれば知りたいです。ローカル線に乗って訪ねてみたいものです。
古民家を改装した書店のおすすめは、美濃加茂市にあるHUT BOOKSTOREや、大磯駅近くにあるつきやまBooks Arts & Craftsなどです。
HUT BOOKSTOREは、旧中山道に佇む古民家で、本や雑貨、カフェなどを楽しめます。つきやまBooks Arts & Craftsは、本とクラフトが並ぶ路地裏の古民家で、コミュニティ活性化や豊かな暮らしの提案をしています。
つきやまBooks Arts & Craftsなら、埼玉に住む私も行けそうです。どんな本が置いてありますか?
つきやまBooks Arts & Craftsは、本とアート&クラフトのお店として再オープンした書店で、ZINEや出版を担っています。絵本や写真集、エッセイなどの本が置いてあります。
また、ギャラリー兼茶室の機能を持つ離れの「GALLERY お風呂場」や、昔の印刷方法の活版印刷ができる「大磯活版発信室」などもあります。
ホームページをご覧ください。
素敵な書店があったら、コメント欄にお願いします。