「古代」村落の想像的根拠から「極東の架空の島」へ:第1章 <二分心>の位置づけ
第1章 <二分心>の位置づけ
1.心のシステムと社会のシステムの関わりを問うことの妥当性
まず心のシステムと社会のシステムの関係はおよそ自明ではなく、単純な同一視は許されないことに留意する必要がある。藤井貞和『古日本文学発生論』における古橋批判「国家成立以前的段階から以後へという展開が、意識の次元でとらえられているという決定的な弱点(…)」(同書, p.20)を常に念頭におく必要があるということだ。確かに古橋の議論には直ちには首肯し難いものが感じられるが、それがどうしてなの