マガジンのカバー画像

山崎与次兵衛アーカイブ:三輪眞弘

49
これまでWebページ、Blog記事などの形で20年に亘って公開してきた三輪眞弘さんについての文章をアーカイブ。
運営しているクリエイター

#スティグレール

「新しい時代」への応答のための準備作業(3):再び「言葉の影、またはアレルヤ」について

フォルマント兄弟による「MIDIアコーディオンによる合成音声の発話及び歌唱の研究」において、リアルタイム性が、「人間」の演奏として介在するという点に おいて生じていることを振り返ってみよう。規則合成方式による、人間であるかどうかもわからない「誰でもない声」が歌うのだから、それを人間が演奏することにより、 人間に生物学的に事前に備わっているのとは別の、もう一つの発声器官を持ったことになるだろう。その時、生物学的な人間とは別の身体を持った 「種族」が歌っているのだということができ

「新しい時代」への応答のための準備作業(2):ワーグナー「パルジファル」についてのメモ

三輪眞弘 モノローグ・オペラ「新しい時代」(初演:2000.4.22 京都、アルティー / 4.27 東京、紀尾井ホール, 前田真二郎(演出&映像)) 50台のiMacとオペレータのための「新しい時代」(1999) 2人のオルガニストとメガフォンを持ったアシスタントのための「新しい時代」(1999) Webのための「新しい時代 http://www.the-new-era.org/」 (1999) 混声合唱のための「新しい時代」(2001) 声(歌と語り)のための"Wach

フォルマント兄弟「フレディーの墓/インターナショナル」 「デジタル・ミュージック」における6つのパースペクティブについてのメモ

最初にお断りしておくが、私は「フレディーの墓/インターナショナル」という「作品」が提示していると私が感じ取り、あるいは認識しているものの意義の 大きさについて確信しているし、以下のような文章を書いたからといって、その評価を撤回なり補正なりすることを意図しているのではない。それ以前の三輪さん単独での 逆シミュレーション音楽の企図、その後のNeo都々逸シリーズの展開といった展望の中に位置づけたとき、「フレディーの墓/インターナショナル」の中の 「デジタル・ミュージック」における6