日記・ポリフォニー・門:ジッド『狭き門』からモノローグ・オペラ「新しい時代」へ(15)
15.
「狭き門」は「アンドレ・ワルテルの手記」のいわば書き直しである。「田園交響楽」で回帰することになる2つの手帖(ただし「田園交響楽」がしばしば指摘される第一の手帖のみならず第二の手帖も含めて偽装された物語なのに対して、ここでは物語は背景に退いて直接 語られることはなく、物語の登場人物の主観的な反応の記録たる独白や膨大な引用を介して浮かび上がってくるように仕組まれているのだが)に対して、「狭き門」の特質は回想=物語が直接語られること、にも関わらず末尾にアリサの日記が置か