言葉の宝箱 0444【利口になったとも言えるし、あきらめたとも言える】
『その青の、その先の、』椰月美智子(幻冬舎 2013/8/25)
主人公の箕島まひるは高校二年生。
「なにに対しても、どうだっていいや」と生きてきたが、
落語家志望の恋人、津川亮司が交通事故に遭い左足切断。
それを境に意識が変り、その影響が周囲に及ぼす姿が描かれている
青春小説。
随所に落語の描写があるがその巧みさは文章では伝わり難い。
・他者を認めることができるようになったというより、
自分の身の丈がわかってきたのかもしれない。
それは、利口になったとも言えるし、あきらめたとも言える P8
・落語ってさ、人間のやさしさとか愚かさとか醜さとか全部あるの。
おれたちみんな、生きてて正解って思えるんだよ P64
・可能性ってなんだろう。
十七歳の今、
すべては未来にひらかれて希望に満ちているように見えるけれど、
この時点であきらめることだってたくさんあるんだ P189
・ある日突然、これまでの人生がなくなることだってあるんだ。
昨日までの日常が永遠に続くなんて、それこそ夢かもしれない P196
・後悔しないように、ということは、
なにか行動を起こすとき今のまひるがまず最初に考えることだった(略)
心が揺れたり迷ったりしたとき、
後悔しないのはどちらだろうと考えて答えを出していた P260
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