漫画感想「ご飯は私を裏切らない」これはグルメ漫画の皮をかぶった哲学漫画だ!
これはグルメ漫画の皮をかぶった哲学漫画だ!
みなさんこんばんは。漫画レビューを書くのはじめての酔野思議です。
レビューというより感想です。短めの。
あらすじ ↓
こちらで第3話までと特別編1話が読めます。 ↓
主人公の女の子がご飯を食べる度にいろんなこと考えるというそんな漫画。29歳中卒という現実から目を背けるように命・人生・生死・・・など何やら壮大な思考を巡らしてゆく。
↑ こちらの記事で存在を知りました。町田洋先生の「夜とコンクリート」も載ってたし、Febriさんの孤独を感じたときに読むマンガシリーズは最高ですね。自分の肌にあうという表現がしっくり来ます。
1話
第1話ということで主人公のかんたんな説明とこれからの話の進め方を決定づける、食う→考える という手順を見せる。
最終話にも絡んでくる主人公の大好きないくらを食べながら、生き物の矮小さについて考える。
マクロな視点でミクロなことについて考えている。
思考を止めま~す。と言っておきながら結局思考しているのがおもしろい。
主人公にとって思考とは自分の人生にとっての具体的な進路についてなのだろう。
全編通してそうなのだが、この子はなにかと生物に関しての造詣が深い。
哲学的な思考癖のみならず、こういった知識や興味を活かせる場所を見つけたらもうちょっと生きやすいんじゃないかな、と思う。
2話
二頭身の侍は第1話で説明があったが天使のガーデンオーナメントがここにして初めて登場する。
4ページ目の二頭身の侍がけっこうなキュビズム的崩壊を起こしてて怖い。
録画でNHK Eテレみたいなのを見ているのが気になった。
しかも「100分de名著」みたいなのじゃなくて「おかあさんといっしょ」風なのも気になる。
いやまぁおもしろいの分かるけどね。「ぼよよん行進曲」とか私も好きだし。
Eテレ大好き勢というのは実はかなりメジャーなのだ。
主人公が好きで見ているのかは分からないけども。
そんなことは置いといて今回はチョコレートドリンクを飲んでいる。
この子はなんだかんだ言ってひと手間ふた手間かかるものを普通に作る。
燃料感がでないようにマシュマロでカモフラージュしながら昔のことを思い出していく。
生きていることに特に意味はないと思いつつ「個人的には生きていかないといけないから」というセリフに主人公の根本的な強さが表れている気がした。
この主人公はちゃんと職場にいるのでこの社会をサバイブできていると思う。本当にサバイブできない人間は職場にすら居られない。そう、私のようにね。(だが主人公もバイトをバックレたりしているので別に良い)
燃料感がでないようにしていたのに最後「私はロボット」と言ってしまっている。いろいろ考えるのに疲れて思考を停止させたのだろう。
思考停止したときに見える景色や環境がもう少し楽観できるものならいいが見える景色がロボットと思わないとやっていけない逆境なのでそこが辛い。
3話
第3話にしてはじめてバイト風景が出てくる。
配布しながら配布枚数をメモするの難しそうと思った。能力は主人公と同じかそれ以下だ。私は。
今回は道端のベンチで食べるローストビーフ丼。
いくらと温泉卵がのっている。
肉が意外と美味くて一時的とはいえいくらを裏切っていたのが少し笑ってしまった。なおかつ愛らしい。でもそういうことってあるよね。
「肉が羨ましい!!」というセリフには他者にここまで良いと思われるのならいっそのこと肉になりたい。といった心情が感じられた。
彼女は常に他人に迷惑をかけているという自責の念を持って社会を生きている。
5歳年下の先輩に優しくされて嬉しそうにしているあたり彼女の心は秀麗で純粋だ。
上の思考の後すぐ「ああ~早く配布再開しよう」といっているので哲学的思考と仕事は別なのだろう。少なくとも思考が暗くなりすぎないようにしているのが分かる。(第4話にもそうしようとしているシーンがある。)
第4話以降は虫を飼い始めたり魚を解剖してみたり初バイトのことを思い出してみたりと色々あって全てのエピソードがおもしろい。(4話以降は無料ではないので買ってからのお楽しみだ!)
と、先ほど書いたが最終話にして主人公にとってのあるひとつの目標みたいなものが生まれる。がんばれ。主人公、いや、ご飯ちゃんの幸せを願う。
単行本のほうには数ページのおまけ漫画があり、そこでご飯ちゃんの同僚と喋っている姿など本編では見られなかったものが見られるので是非買っていただきたい。(別に私はヤングエースの回し者ではない)
対談
↑ 「ヘテロゲニア リンギスティコ ~異種族言語学入門~」の瀬野反人先生と対談していらっしゃいます。
↑ heisoku先生のホームページです。
短めな感想と言いつつまぁまぁな長さになってしまいましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。