卒業式
今年は新型コロナウイルスで世間が大騒ぎになり、
卒業式も危うい年となった。
私の学校も大幅に規模を縮小して実施された。
先生の
「春から社会人として働いていく卒業生にせめて背中を押してあげたい。県内、県外、それぞれの場所で輝けるように、ひとつの節目として卒業式をしてあげたい。」
という思いが形になった。
私は、今年在校生代表として送辞を読ませていただいた。
保護者はYouTubeライブで式の様子をみるということで、場内の立ち入りは禁止された。
在校生も場内含め出待ちも禁止された。
在校生の声は、寂しい卒業式になる。行きたかった。可哀想。
様々な声があった。また、学校からの通告も無視しようとする動きまであった。
一方、卒業生は学校からの報告を受け、冷静にいまできる精一杯のことを考えていたようだ。
卒業式も限られている時間の中で開催され、謝恩会も中止となったが、そんな卒業生の背中は眩しくて大きすぎた。
同じ学年で卒業生もいた。1年で卒業する人もいた。もちろん、1つ上の学年も卒業する人がいた。
私はそんな話を聞いて、自分たちが騒いでることが情けなくなった。当本人たちは、大人だった。
卒業式前日、私は友達にあるメールを送った。
「お願い、明日頑張れって言って。」
好きだった、振られた人にも送った。
この日だけは、という願いを込めた。
後日談、後輩とその話をすると、重いと言われた。それでも、送辞を担当すると決まってから、ずっと決めていたことだった。
卒業式当日、朝のリハーサルも緊張すること無かった。大丈夫なんじゃないか?とおもいながら、身なりを整え、先生たちと雑談をしていた。そして、会場に卒業生たちがやってきた。
途端に緊張が押し寄せてきた。卒業生を見送ることができる在校生は、この会場には私しかいないという責任感、送辞を読まないといけない、失敗したらどうしようという緊張感。
好きだった人のことなんて考える余裕なんてなかったが、いざ姿をみるとつい隠れてしまった。
友達として仲良くしようという約束はしていたのだけど。
もう一度身なりを整えに化粧室に向かって帰ってきた時、会場内にいるはずの好きだった人が再びドアの近くにおり、会場に入ろうとしていた。
びっくりして、隠れる間もなく、目が合った気がした。特に何も無かった。緊張が余計に増した。
なんとか送辞を終わらせることもでき、先生たちと一緒に花道を作り、卒業生を見送った。
その時にもすれ違ったが、やはり声をかけることも無く、目もあうことなく、悲しくなった。
他の仲の良い友達は声をかけてくれたり、手を振ってくれたりしてくれたが。
少しだけ苦い思い出となった。
あなたに想いを伝えたあの夜のこと
私は後悔はしていない。もう簡単に話しかけられなくなったこと、もう「ねぇ聞いて!」って話を聞いてもらうことが出来なくなったこと、避けられたこと、全てが寂しい。
でも1番はね、