さよならの小鳥
娘と一番仲のいい友だちが、「引越しする」と聞かされたのは昨日のことだ。
お母さんの生まれ故郷である鹿児島の離島へは、遅かれ早かれ移住することが決まっていた。
それなのに10歳の娘と同じように私も、ともに過ごす時間は無限にあると思っていたのだ。
夏休みが終われば、またいつもの日々が続くはずだった。
私には、「友だちの母親っぽい言葉」が見あたらなかった。
挨拶に来た彼女のお母さんは、いつもと同じように穏やかで礼儀正しく、私の方がよほど不安を持て余していた。
ここよりもっと静かな場所へ彼女を連れて行く。
そのことに心がつぶれそうだった。
汗だくで自転車をこいで遊びに来た彼女は、庭の小鳥のようだった。
いつもいつも、楽しそうな声を響かせた。
今までの生活や友だちを、忘れてしまうほど楽しい日々を過ごしてほしいと願っている。
彼女は涙をこぼさずに、羽ばたくように手を振っていた。
離れても友だちだよ、と笑っていた。
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