NCU・7日目 2017/09/20
連日の15時での面会に伺う。
後頭部の開頭部位からのドレーンが除去される。廃液と出血塊の除去がスムーズに進んで問題ない状況までに脳内の実態的には改善されたからである。炎症と治癒の過程から鑑みても手術から1週間なので順当な経過とみていいだろう。
喉の痛みもあってまだほぼ発話には至らない。
点滴用導管と経鼻菅が差し込まれてるだけの状況になったのだが逆に管の本数が少なくなったことで残った導管の存在が気になり、痒さもあってか無性に無意識に導管を外したくなるみたいである。それを阻止、防護するために左右の手指には拘束具手袋が装着されている。この拘束具も外して導管も外してくれと懇願されるがそれは応えかねる相談である。軽く無視して話しかけて足をさすったり手をさすり揉んだりして母親の取り戻した暖かさを実感する。
翌日の9/21(木曜)の朝は平熱で36℃前後の体温であったにも関わらず、昼以降に38℃以上に体温が上昇してうつらうつらと虚ろな印象になる。かなりの倦怠感もある。耳鼻咽喉科医師の所見では咽頭部に機能的・器質的変化や病状はなく一週間まえの気管内挿管抜管時の腫れも引いてきて炎症はほぼみられない状態まで回復してきているとのことであるがCRP値が上昇してることもあり感染対応として抗生物質バンコマイシン投与することになる。発熱があるので受け応えも曖昧なものになり、話しかけるのが患者にとっての呼応対応になるので推奨されるのだけれどもかえって疲れを招いてしまって患者のためにならないんじゃないか?と勝手に解釈して「ゆっくり休みや」とかしか言えなくなる。何事においても事はスムーズに進行しないようである。
この日には国立循環器研究センター退院後にリハビリテーションに転院して身体の機能回復に重点をおくことになるのでコーディネーターの方と相談していたリハビリテーション病院の数軒を見学に伺う予定にしていた。
リハビリテーション病院は千差万別で選択するのが非常に難しい側面がある。家族や親族が残っていればそういうことに奔走できるので選ぶ自由度も高まるとは思うのだけれども、近親者のいない独居人が患者の場合は打算的に選択することになるのだろう、と想像するしかない。病院によって様々にカラーがあって特色がそれぞれに違い、得意分野などもそれぞれに違うのである。あるところは交通至便で立地は申し分ないもののリハビリテーションへの力の入れ具合が中途半端でこれでは全く機能回復には寄与しないであろうなという散々な施設から、24時間看護体制でマンツーマンのリハビリテーションを一日3時間みっちりこなすという日常生活を見据えた対応をする施設もあったり、そうと思えばリハビリテーションに運動負荷を効果的にかけるトレーニングをリハビリテーションに課す施設もあったり、本当に千差万別なのである。
そこで取り敢えずはコーディネーターから地域連携パスという包括的システムのことを説明されます。地域連携パスとは
地域連携パスとは、ある疾患に罹患した患者さんを中心として、地域で医療・介護に関わる人々がそれぞれの役割分担を行い、お互いに情報共有をすることにより、今後の診療の目標や注意点を明確にし、チームで患者さんを支えてゆくための仕組みです。
地域連携パスには2種類あると言われてきました。一つは脳卒中など急性疾患に罹患したとき、まず急性期病院に入院しますが、その後回復期リハビリ病院への転院が必要となったとき、医師・看護師・リハビリスタッフなど多職種の情報や診療計画を転院先にスムーズに引き継ぐという「一方向性連携パス」です。もう一つは糖尿病など、長期にわたり診療してゆくことが必要であるが、普段の診療はかかりつけ医が行ない、必要に応じて専門医の診療を受け、かかりつけ医の支援をするという「循環型連携パス」です。
国立循環器病研究センターでは、糖尿病だけではなく、脳卒中や心筋梗塞も退院後は循環型連携パスで患者さんを支えてゆく仕組みをパスとして作っています。また脳卒中の場合は、脳卒中になる可能性の高い患者さんを脳卒中にならないように予防するための脳卒中前方連携パスというものも作製しています。
(国立循環器病研究センター・ホームページより抜粋)
実態を拝見しなければ何も事は運ばないので目ぼしいリハビリテーション病院を3〜5施設くらいに絞って選定していく作業に入ります。初めての体験なので右も左も判らないものですから判断基準もなく、周りの体験者の評判を地道に聞き拾い上げて判断しつつ、ネットでの評判などもできる限り拾い集めますが基本的には想像の域をでない判断でしかない、という状況が非常にもどかしいです。
なにしろ体験入院などという悠長なことを言えない状況であるということが全てを物語ってるのかもしれません。
まぁ、すぐに死ぬわけじゃないから大丈夫。
この言葉だけに支えられた日々です。