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続・ユニバーサルデザインとかけ離れたアレの話 〜行き当たりばったりな介護情報基盤


しつこく前回の話の続き。ようやく関連資料を読みましたよ。
ちゃんと読んでから書け、という話ではありますが(汗)。


前回、介護保険の情報更新のたびにマイナカードの情報を書き換えるの??みたいなことを書きましたが、当然ですがそんなことはなく、介護保険に関係するの諸々の情報を下記の情報基盤に置いて、そこにアクセスする鍵としてマイナンバーカードを使う、ということらしいです。

でも利用者さん、自分の要介護度や負担割合を尋ねられたとき、紙の保険証類が廃止されて、手元にマイナンバーカードしかなかったらどう対応するんだろう、という謎は残ります。マイナポータル見ろ、って?無理っしょ。


現実的には紙はそのまま、マイナンバーカードにも実装するよ、という流れになりそう。実際、厚労省側はそういうスタンスっぽいですね。

北海道の訪問介護事業 晴 代表のおおさわさんのnoteの引用先だと、そういう書き方でした。


で、あらためて、その情報を眺めてみようじゃないの。

介護情報基盤について 厚生労働省 老健局

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001269924.pdf

要は情報の個別のやり取りをなくし、ハブに取りに行くイメージですね

たしかにこうやって、保険者・医療側と情報共有できるとケアマネさんは助かりますよね。情報待ち時間がなくなる。

でもこれ、マイナンバーカード、要る?

被保険者証や負担割合証、負担限度額認定証提示でも右の状況はつくれるよね、ということをここでは確認をしておきまする。


ただし、負担限度額認定証とマイナンバーについては、今後、場合によっては関連が出てくる可能性はありそうです。なぜなら認定証発行の際に、口座確認という面倒な作業があるから。

認定申請時にご用意いただくもの

1 介護保険被保険者証
被保険者(配偶者がいる場合は配偶者の分も)の預貯金等の資産額がわかるもの
・預貯金(普通・定期)はお持ちのすべての口座について、以下の書類等が必要です。
(1)口座の名義人と銀行名が確認できるもの・・・通帳の表紙など
(2)口座の残高(預入金額)が確認できるもの・・・通帳の最終記帳ページなど
 (Web通帳の場合は該当ページも可)
・有価証券や投資信託等がある場合は証券会社や信託銀行、銀行の口座残高の写し等

要は資産要件の証明がたいへんなのです

それと、これが関係してくるだろうな、と。

マイナンバーカード、ポータルより公金受取口座の登録ができるのですが、これは別の話だそうで。

2024年4月1日、「預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律(口座管理法)」が施行されました。これにより「預貯金口座付番制度」の仕組みが新しくなりました。

「預貯金口座付番制度」とは、銀行等に口座をお持ちの方や口座を新たに開設する方が希望すれば、銀行等において、口座とマイナンバーを付番することができる仕組みのことです。

口座をお持ちの方は、口座とマイナンバーの付番を希望する旨を銀行等に届け出ていただければ、将来的に以下のような「もしも」の時の備えとしてご活用いただけるようになります。

・メリット1:災害時、避難先で活用できます

大規模な災害などが発生した際、場合によっては居住地から遠く離れた地域に避難される可能性があるかと思います。

あらかじめマイナンバーと口座を付番しておけば、口座をお持ちの銀行等の店舗が避難先のお近くになかった場合も、マイナンバーを活用した情報連携によって、避難先の銀行等にて、口座をお持ちである銀行等に口座があることを確認することができるようになります。

・メリット2:相続時の手続に活用できます
(略)

メリット、正直弱いですね・・・


自ら希望すれば、自分の銀行口座にマイナンバーを紐づけることができる「預貯金口座付番制度」が、2024年4月1日より施行されております。各口座の名寄せにもこれを適用できるように準備中とのことなので、こちらを適用されている方であれば、すべての口座にマイナンバーが紐づけられる。なので、負担限度額認定証の発行にかかる口座情報集めは不要になり簡略化されるよ、ということはあるのでしょうね、きっと。

でもこの紐づけ、あくまで任意なので(いまのところは)そこまでの効果は現状、発揮しなさそう。なお新規に口座を開設する際は、かならず希望を確認されるそうです。




本筋に話を戻します。

お、住宅改修費という文字があるぞ

我が業界に関連する情報が出てきました。
住宅改修費利用等情報、これなんだかおわかりでしょうか。

介護保険制度の中で、住宅改修費の支給だけは、原則として20万円を何度に分けて使ってもいいよ、という仕組みなのです。引っ越した時と、初回の工事を行ったときから要介護度が3つ(要支援2と要介護1は同じ等級として数えますが)上がった時に限り、その20万円が改めてチャージされますが、それ以外は一生かけて20万円の貯金を切り崩して使っていくイメージです。下ろすのに1割から3割の手数料(介護保険自己負担分)がかかる貯金ですね。

現在は、これは保険者だけが持っているデータなので、ケアマネが把握できていない工事の痕跡などがあった場合、ご利用者さんもしくはケアマネに、保険者へ住宅改修の利用履歴の照会を依頼しております。住宅改修事業者からだとできないんですね、これ。
大概、電話で回答はしてくれるようなのでそこまで面倒ということではないとは思いますが、そのデータベースにケアマネがアクセスできるのであれば、こちらも助かるな、と思います。


そんなこんなで、データベースによる情報共有はケアマネにとっては便利、それは間違いない(我々も)。
でも、利用者さんにとってはケアマネには話せても保険者等には出したくない話があったりするはず。なので、ケアマネさんとしては記録の仕方が面倒になるかも。そういった、どこまで共有するのでしょうね問題はあるかも知れない。

事業所側からのフローを見てみます。

よく見ると謎の情報の流れが

介護事業所からアップするデータの中に、LIFEなるものが。
LIFEシステムとはなんぞや?

ありました。

科学的・・・?

英語と日本語が一致しない役所の用語問題、一種の詐欺だと思うのでやめましょう、と言いたい。
エビデンス(証拠)のための長期介護情報システム、が正しい訳でございます。要はデータ取りしたいのね。それをやると加算がつくよ、となっているそうですが、お詳しい方にこれは任せよう。
ただ、フォーマットがガッチリしているものであれば、利用者さんの不本意な情報がここに上がることはないかも知れない。利用者さんがマイナポータルから、この情報を閲覧できることでそれは担保できそうです。


そしてもう一つの流れが、ケアプランデータ連携システム
なんでしょうねこれ。

こういうときは※印を見るのが官僚文学の読み方です

※なお、ケアプランデータ連携システムは、地域支援事業の枠外で、従来通り国保中央会の民間事業として引き続き実施することを想定。

 

民間事業・・・・???
ツッコミたい気持ちを抑えて、国保中央会のサイトに飛びましょう。


ケアプランデータ連携システムとは

 介護人材の確保が喫緊の課題とされる中で、介護現場の負担軽減や職場環境の改善は重要であり、厚生労働省において様々な取組が行われてきています。

 その取組の一環として、厚生労働省にて、令和元年度に調査研究事業を実施し、居宅介護支援事業所と介護サービス事業所の間で毎月やり取りされるケアプランのうち、サービス提供票(予定・実績)をデータ連携するための標準仕様を作成し、公開されました。標準仕様を活用してデータ連携をすることで、介護事業所の文書作成に要する負担が大幅に軽減されることが期待されています。

 さらに、この調査研究結果を踏まえ、安全な環境で効果的にデータ連携を可能とするため、「ケアプランデータ連携システム」の構築を行うこととし、令和2年度より調整を進めてきています。本会では、厚生労働省からの依頼により、このシステムの構築・運用を実施しています。

2020(令和2)年から動き出した話なのね

ちなみに、本格稼働は『2023年(令和5年)4月』だったそうで。

発想はわかる。でも任意加入じゃんこれ

ケアプランデータ連携システムのライセンス料(1年)    21,000円
電子証明書発行手数料(3年)               13,200円
ケアプラン標準仕様に準拠した介護ソフトの利用料金(月額)
                         5,000~30,000円程

https://ads.kaipoke.biz/column/operation/care-plan-data-linkage-system.html

介護管理ソフトと紐づいているようで、そのソフトとバンドルで国保中央会にお金を払う仕組みなのかな。
でも、任意加入のこの仕組みと並列につくられる、介護情報基盤って役に立つのか?なんか読めば読むほど謎が増えてきました。


そして、問題の核は、実はこっちの方なんじゃないかなと思っています。

2022 年 6 月に、「経済財政運営と改革の基本方針 2022」(令和 4 年 6 月 7 日閣議決 定)において、「全国医療情報プラットフォームの創設」、「電子カルテ情報の標準化等」 及び「診療報酬改定 DX」の取組を行政と関係業界が一丸となって進めることとされ、政府に総理を本部長とし関係閣僚により構成される「医療 DX 推進本部(仮称)」を設置し、 政府を挙げて施策を推進していく旨が打ち出された。 これを受けて、2022 年 10 月 12 日に医療 DX 推進本部が設置され、総理より、スピ ード感をもって取り組むための工程表を策定すべく議論を進めるよう指示があった。そ の後の検討状況は以下のとおりである。

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/iryou_dx_suishin/pdf/suisin_kouteihyou.pdf

出たよ、総理よりスピード感。行政の長がふんわりした単語を使うの、禁止にしてほしい。ただのパワハラじゃないのこれ。

厚労省がやっていたデータ連携システムの上から、なんか官邸主導案件が被せてきたような状況が見えますね。自分がシステム屋ならさっさと荷物をまとめたくなるような話に見えます。


あと、国保中央会の新たな収入源を作った厚労省、そこは死守したいということなんでしょうか。いろいろカオスだなあ。

ざっくり読んだ結果、ますます介護保険の端っこにいる人間として混乱する結果となりました。
せめて、これは民間事業なのか公的事業なのか、はっきりしてほしいですね。またしても行政のキメラをつくるのはやめてと、切に願います。



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てすり屋のひとりごと 橋本 洋一郎(合同会社 湘南改造家)
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