飛び石をカッコよく弄る ~見た目をより良くする拡幅&段差解消
ヘッダーの写真が今回のご相談(BEFORE)です。
こういう、御影石の飛び石って時々出会いますね。東京で設計の仕事をしていた頃、あれは都電の敷石を剥がしたものが配られたのだ、みたいな話も聞いたりしました。買うと安くはないので、皆さん飛びついたのでしょうね。ジョイフル三ノ輪の商店街の裏に、結構広い駐車場にこの敷石を敷き詰めているところがあって、すげえ、と感動した記憶があります。
さてこの案件。これって集合住宅の共用部かな?、まずは管理組合にお伺い案件かしら、と思っていたら、オーナーさんの部屋がこの画像の手前にあるドアのところであり、オーナーさん全室所有の賃貸物件だったので、オーナーさんの自宅として通路も介護保険の給付申請ができることとなったのでした。
で、話を進めるにあたって、通路の敷石を剥がして平坦にするのかな、と思っていたのですが、案外この敷石の精度が悪くないし、平坦とまでは言えないが、石の間もある程度埋めてあるし、そこまで段差はない事が判明。ただし幅が狭いので、曲がり部分で四輪歩行器が脱輪するのですね。
そして、オーナーさんが丹精している庭が、賃借されている居住者さんの目を楽しませている様子もわかり、それならばこういうのはどうでしょう、ということで提案したのが、この改修。
いわゆるピンコロ石と言われる、10cmくらいの角にした御影石でも、表面が比較的平らなやつがあります。厚さも半分だったかな。それを使いました。
そして、通行が難しい部分はちょっと幅広にしています。
出来上がり直後は石の色が違っているので、馴染み具合はピンときませんね。でもこれで、おおよそ通路幅は80cmなので、50cm程度の歩行器でもなんとか押していけるようになりました。
でも、まだ新旧の石がチグハグな画像しかなく、その後いったいどんな感じになったか気になったので、5年後の画像を撮ってまいりましたよ。
草臥れ具合がちょうどよくなって、最初からこうだったような顔をしております。そしてアフターのほうが変化に富んで、カッコよく見えている。この状態を自分はしてやったり、だと認識しております。
できることなら、やった仕事が最初からある建物の雰囲気を壊さず、出来ることなら見た目の面でも役に立つ方向で活躍させたい。
あと、なぜこの方法を選択したかというのにはコスト以外に、もう一つ理由があるのです。
それは、このルート、あまり通行止めにしたくないから。
例えばここを掘り返して、コンクリート打設からの刷毛引き仕上、とかになると、最低3日はそのまま養生するので上に乗らないでください、と言わざるを得ない。表面に細かい傷がつくのは将来的にはあまり気にならないとは思うのだが、硬化の途中ですごく見苦しくなったりもするし。
でも、この場合はそこまで気にならないはずだ。新しいピンコロが動かない程度に固まれば。だから翌日から歩行可能とお伝えしたはずである。
新築だと、ある程度は人の流れも制限できるからこういう問題は少ないのだが(でも外構はだいたい竣工日程に追われているから大差ないかもね)、
このような場合は利用者さんや、その周囲の人々の暮らしに影響が少ない施工方法を検討するのも、また大事なのであります。
ちなみに敷石を再利用しない、通路を新設するときもその考え方を重視しておりますが、それのケースについては後日あらためて。