【読書メモ】酒好き医師が教える最高の飲み方
2017年11月に出版された本書が日経BPから文庫化されました。
著者の葉石かおりさんがアルコールに関わる様々な領域の医師に取材し、エビデンスに基づいて書いた本です。
私は以下の記事の取材を受けました。
・第3章 飲んで病気にならないためのルール
<顔が赤くなる人、ならない人は何が違う>
・第7章 絶対NG! 危険な飲み方
<恐ろしいアルコール依存症の末路>
葉石さんの「酒ジャーナリスト、エッセイスト 一般般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーション理事長」というだけあって、根っからの酒好きです。
取材を受けた時も「飲み過ぎで健康障害が出ている。どうやったら、お酒を楽しみなら、健康も維持できるか?」について本当に真剣に考えていらっしゃいました。
この手の本を医師が書くと、エビデンスにこだわってしまい、文章が固くなったり、「お酒を楽しむことより、健康が大事」という趣旨になって、酒好きの方々としては「私の気持ちがわかっていない」と受けてとめてしまうかもしれません。
その心情をわかっている著者だからこそ、専門医が提供するエビデンスを酒好きの方々にも受け入れられるように書くことができたのではないでしょうか。
そういう<当事者性>は<はじめに>の中に書かれています。
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私自身は、取材を進めるうちに飲み方が変わった。
自宅で晩酌するのが当たり前だったが、会食が多い週は自宅飲みをやめる。休肝日を増やす。朝晩、体重計に乗るのを日課にする。つまり、健康を気遣って酒を飲むようになったのである。
相変わらず外飲みは、ほぼ毎回のように「適量」を超えてしまうが、それでもこうしたケアによって、体重は3キロ減り、体脂肪は5%減った。オーバーしていた中性脂肪も基準値におさまった。
朝の目覚めも良く、むくみもなくなり、以前よりもすこぶる体調も肌の長子もいい。
数値に結果が出たことで、「やはり医師のアドバイスは間違いない」と実感している。
もし、以前のようにダラダラと飲み続けていたら、酒に関わる仕事すらできなくなっていたかもしれない。
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素晴らしい実践です!!
このようなコンセプトで葉石さんは、『名医が教える飲酒の科学 一生健康で飲むための必修講義』、『酒好き医師が教える もっと! 最高の飲み方』も執筆しており、シリーズ累計17万部を超えるそうです。
ちなみに、葉石さんのシリーズは、多くの人が拙著とセットで購入してています。
葉石さんの変化が示しているように、結論は大体一致しているのですが、話の進め方が、拙著『「そろそろ、お酒やめようかな」と思ったときに読む本』が、「禁酒したいと思っているけれど踏み切れない人の背中を押して差し上げる」なのに対し、葉石さんの三部作は「健康障害が起きているが、何とか飲み続ける道を探したい」と逆の面があります。
酒好きな人が、禁酒を迫られると、一直線に、行動に移せることは稀で、「上手く飲める方法はないか」と模索し、葛藤するのは当然です。だから、両方を買って読み、納得ずくで行動に取り掛かりたいという心理なのかもしれません。
葛藤している方は、両方を読んで、納得できる方法で取り組むことをお勧めします。