私の好きな「女の情念」小説
じょう‐ねん〔ジヤウ‐〕【情念】感情が刺激されて生ずる想念。抑えがたい愛憎の感情。「情念の炎を燃やす」。なんかね、こーいうジャンルが好きでたまらんのですよ。
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林真理子『白蓮れんれん』
大正時代の偉人のように聴くけども、伝記読んだことないなと思って読んだけど、偉人ではなかった。現代から見ても毀誉褒貶の人。「自由恋愛」という罪悪にして至高の価値。マリコ先生は妙に突き放した筆で書いている。
百田 尚樹『モンスター』
美容整形依存ホラーもの。エンタメ小説家としての百田先生は、ハラハラドキドキ、読ませます!
辻村 深月『盲目的な恋と友情』
可愛らしい青春の初恋のように始まって、愛憎のドロッドロを少女が知っていく話。これが”情念”です!
有吉佐和子『華岡青洲の妻』
《美談の裏にくりひろげられる、青洲の愛を争う嫁と姑、二人の女の激越な葛藤を、封建社会における「家」と女とのつながりの中で浮彫りにした女流文学賞受賞の力作》 この題材を美談にしない執念の筆が、また狂気じみてていいんですよ。
柚木麻子『BUTTER』
死刑囚・木嶋佳苗をモデルにした小説は何冊も出ている。それだけ、なんだか気になって仕方ない人物。
松澤 くれは『りさ子のガチ恋♡俳優沼』
「推し活」なんてカジュアルに流行語になってますが、あんなのストーカー養成所じゃないですか。本書の何が怖いって、自分もそうなりかねない、ってハラハラ共感するところです。
東雅夫 ・編『文豪ノ怪談ジュニア・セレクション 恋』
恋×怪談=恐ろしき情念の世界!!ジュニア版だから読みやすいよ。
瀬戸内 寂聴『わが性と生』
女の情念作家といえば、瀬戸内寂聴ッ!自分の情念を理知的に見つめ、丁寧な言語化できる才もまた寂聴の持ち味。最近出家してもお盛んな恋があった暴露本的な小説が出て、さっすが寂聴先生!と思いました。
唯川 恵『テティスの逆鱗』
これも美容整形依存系ホラー。「自己愛のこじらせ」もまた情念。
宮尾 登美子『一絃の琴』
宮尾登美子は、どれも土佐女の苦労一代記、執念ドロドロ。本書は読後感がよかったので。
映画「鬼龍院花子の生涯」
宮尾登美子原作。「なめたらいかんぜよ」のせりふは、原作にはなく、映画版オリジナル。五社英雄監督は、「女の情念」の名手。
藤本 ひとみ『大修院長ジュスティーヌ』
歴史上の人物を題材に、性と官能と狂気と。
岩井志麻子『あの女』
実際にマネージャーだった虚言癖女性を題材に、しつこくしつこく短編を書き続ける志麻子先生。狂気なのはどっちだ。
渡辺 淳一『女優』
戦前の大女優・松井須磨子伝。「この、泥棒猫!」「あなたは鬼…鬼よ!」という古風な表現が出てくるので、この本が出典ではなかろうか。
映画「Wの悲劇」
女の情念の権化と化した女優ものといえば、薬師丸ひろ子のこれがいいんですわ。最初はあっぱらぱーな女の子が、女優としてのアイデンティティに目覚め、狂気をはらんでくる。指南役の先輩大女優 三田佳子がまた狂気。
宮木 あや子『婚外恋愛に似たもの』
同じボーイズグループを推す、立場の違う5人の女性たち。モデルになってるボーイズグループはもろにA.B.C-Z。読後感はよいので、安心してください。
桐野夏生『OUT』
やっぱり、桐野夏生は挙げないわけにいかないよねー。でも楽しい話じゃないよねー。なので疾走感のあるこの本を挙げたい。