『スマホ脳』 感想~消費豚は世界的な問題だった~
「脱消費豚」を今年のメインテーマに添えている私にとって、
『スマホ脳』アンデシュ・ハンセン
は衝撃を届けてくれた。なんと、
消費豚問題は「世界的な問題」であったのだ。
タイトルにスマホ脳とあるが、これは「デジタル化する世界の中に、人間は適応できていないにも関わらず、我々は一日中スマホやタブレットに脳を支配されている」というような意味で、おそらく原文タイトルではなく訳者がつけたタイトルだと思われるが(原文の本がスウェーデン語?なのか見当たらないので未確認)、消費豚の問題は、この本の中で示された問題の一部と重なる。自分のテーマと合致した内容であったので、さっと読んで、そのあともう一度じっくり読んで考えてみた結果、
「スマホ・タブレットは害がある」
という著者と同じ立場の結論に至りました。最近もしかしたらと感じていた昨今の人間、特に若者の知能の低下の一因はデジタルデバイスにあるのではないかという予感が、これだけ沢山証拠になり得るものを提示されてなおまだ推測の域ではありながら、確信に近いところまで詰めていけた書籍であったと言える。加えて、私のもう一つの人生をかけたテーマである
自殺防止
という観点からも、スマホが急増する心の病と関連性があるという著者の推測(この著者は様々な論文の結果を、人間の進化の見地と照らし合わせて、独自の推測に至るというプロセスでものを語る場合が多いので、あくまでも推測の域は出ていない)は、誰もがうすうす感じていたデジタル機器の害を見事に証明したかのように感じ、この本が売れるのも納得である。ここまで鋭い推測は、根拠にもなり得ると感じるのでみんな(特に親世代)こういうのが欲しかったと言える。
脱消費豚を掲げるくらいに実際自分がそうだったから体験的にわかる部分があり、職業柄若者をよく見ていて集中力がない子の大半が
スマホ・タブレット依存(ゲーム・SNS・動画依存)
であり、成績の悪さとの相関性は90パーセント以上(まれにゲーマーでも賢いと感じさせるものを持っており勉強ができる子はいるが、たいてい提出物などはルーズで偏差値は伸び切らない)なのである。やはり
「スマホ・タブレットは害がある」
ということなのだろう。
著者の「デジタル時代のアドバイス」が、偶然にも私が「脱消費豚」を目指して実行しようとしていたこととかなり多くかぶっており、我ながら自分の勘の鋭さに感心してしまった。結構当たり前のことなのだが、ちゃんと実行するのは結構難しい部分もある。特にスクリーンを1日2時間というのは、ipadを学習にも使っている私や学生諸君には難しいだろう。コロナ禍で教育にも更なるICT機器の活用が叫ばれている昨今、私はタブレット端末は娯楽機器の域を出ないので学内では使用禁止にして、
学生はSurface的な2 in 1デバイスで学習する
のが最良なのではないかと考え始めている。サーフェスなんて、タブレットとして使うのは不便この上ないが、ノートパソコンとしては必要十分で、ペンも使えて、軽いから持ち運びも便利だし。まあサーフェスgoみたいな低性能のだとまた話は変わりますが、
クリエイティブな作業にも使いやすい
デバイスを持つのであれば、消費行動にばかり向かわずに済むのではないかと密かに考えています。いやしかし難しい時代です。ipadなんて使いやすくて本当に便利ですからね。自制できる人にとっては十分教育目的で使えるものですが、私は結局iPadはほぼ消費活動に使っていて、脱消費豚を目指して自制心を持って動き出した今でこそ「Udemy」などの動画で学習にもフル活用できているというのが現実ですから、きっと学生であったら
ゲーム・SNS・動画・漫画・まとめサイト
などに永遠と使い続けるのが、「普通」なんじゃないかと思います。それは子どもが悪いのではなくて、タブレット端末というのは、そもそもそういうものなんですよね。
生殺与奪の権を他人に握らせるな!(富岡義勇)
という言葉がありますが、
己の思考と精神をスマホに握らせるな!(スマホ脳著者)
というようなことをですかね。スマホに支配されているってことは、つまりその先にいる巨人企業の連中の手のひらの上で無様に踊っているということですからねぇ。著書の中で、そういった先駆者の何人かが自分のしたことを悔いているという発言もあって、ガチャゲーを作っている人たちもいつか自分のしてきたことがいかに人類にとってマイナスであったかに気づいて悔いることがあってほしいなぁと感じています。反省できる辺りが本物の成功者からくる余裕なのか、それともキリスト教的な正義からくるのかはわかりませんが、日本だとデジタル先駆者たちからそういう発言は絶対に聞かないので意外に感じました。
では最後にまとめます。賢い電話という意味の「スマートフォン」がまさか人類を
アホ
にしているとは、、、なんとも皮肉であり、賢い相棒に骨抜きにされつつある人類が、今度はAIに取って代わられるのは必然なのかもしれないなぁと、少し悲しくもなりました。だがしかし、私の目の届く範囲ではそうならないよう気を付けたいと強く思いました。もちろんまずは、
自分がちゃんとする(デジタルデバイスと適切な距離を保つ)
ことが大事ですね。
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