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「不摂生が格好いい」「それがヒップホップっしょ」みたいのやめませんか。The LOXのメッセージを受けて思うこと

 tiny desk concertに出演し、貫禄あるパフォーマンスが格好よかったThe LOX。
 番組のInstagramにアップされていた「健康を大切に」というメッセージ動画(以下)が印象深かった。

「ヒップホップの人たちが、健康について発言するなんて」

 と思う人もいるかもしれない。
 しかし、彼ら(JadakissとStyles P)は、生まれ育った地域の人々の健康を支えるため、新鮮な野菜や果物を使った、スムージーショップ(以下)をオープンさせている。
 ヒップホップ業界で長く活躍しているだけでなく、社会貢献を果たす活動家としての一面をもつ。

 調べてみると、アメリカでは食事が原因の健康被害が多いようだ。その原因の一つに、安価な加工肉やジャンクフードなどが身近にあって、新鮮な野菜や健康的な食事をとる習慣が浸透していないことが挙げられる。また地域によっては、健康的な食料がそもそも売っていない場合もあるらしい……。
 これでは、特に低所得者層は、体に悪いものしか食べられず、病を患いやすくなってしまう。しかも、食に関する適切な知識を知る機会もないため、負のスパイラルに陥る。

 JadakissとStyles Pの出身地、ニューヨーク州ヨンカーズも、そういった状態であるらしく、これを解決するためにスムージーショップを開いたとのこと。


 ここで、ぼくの経験してきた環境をふり返ってみる。

「不摂生さがクール」
「身体を犠牲にして頑張る美学」

 といった、身を滅ぼす健康的でない思想や行動を「これがヒップホップっしょ」みたいな自己都合の解釈で押しつける人が、けっこう多かった。いわば、大学生の「オールしちゃったわ〜」とか「全然寝てない〜」のノリとほぼ同じ。
 ヒップホップは本来、生活の苦難や困難に立ち向かうための力となるはず。なのに、自分の行動を正当化するために、都合よく「ヒップホップ」という言葉を使わないでほしい。


 よりよく生きていくために、すべきことを行い、体の健康や心の健康(メンタルヘルス)にも目を向けて、仲間や家族、地域住民と協力し合う。これがクールだし、ヒップホップだ。ぼくは、そう思う。

 最後に、tiny desk concertでのThe LOXのパフォーマンスをどうぞ。

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