メディアブランドは読者の中につくられる
ここ数年で、SNSのタイムライン上に流れてくる記事を読むことが主流になった。
さまざまなメディアを横断して日々記事を読んでいる読者の目は肥えてきていて、そうすると意識的にも無意識的にも次第にメディアを選別していたりもする。
記事の内容やクオリティで意識的にメディアを選別していることもあれば、「読みやすい」とか「読み心地がいい」といったことが無意識的な選別に大きく影響していることもある。
日常的に多くの記事に触れるうち、メディアに対する言語化されない感覚が蓄積されていく。そうして読者の中にメディアというブランドがつくられていく。
ここで強調したいのは、メディアというブランドは“つくる”ものではなく、読者の中に“つくられる”ものであるということ。記事を読むという体験の積み重ねを通じて、少しずつ読者の中にメディアというブランドが形成されていく。
じゃあ実際にはどんなメディアがブランドとして抜きん出ているのか、思いつくままにツイートしてみたら意外なほど反響があった。
「メディア側の事情」というのは、たとえばページ分割しまくっていたり、記事内にやたら広告が挟まれているといったこと。
一読者としては、5ページとかにまたがっている記事は最後まで読む気が失せてしまうこともあるし、そういう体験が特定のメディアで積み重なると、よほどの読むインセンティブがない限りはスルーしてしまうようになる。
もちろんマネタイズの構造上メディアがPVを追求することは理解できる。ネット空間に「お金を払って良質な記事を読む」という文化が醸成されていない現状を考えれば、それは否定されるべきものではないとも思う。
それでも、読者ファーストなメディア設計をすることが、中長期的には大きな違いを生むことになる。ページの表示速度を1秒でも改善するために億単位の投資しているメディアだってある。
「NewsPicks」「北欧、暮らしの道具店」「新R25」「soar」は、たまたまその場で思いついたから例に挙げたのだけど、「ブランドが強いメディア」として「たまたま想起される」こと自体、ブランドの強さを物語っているとも言える。
ちなみに、それらのメディアは「読みやすさ」とか「読み心地」の設計がすごいのと同時に、読者との関係性のつくり方も秀逸だと思う。
それについてはまた次の機会にでも書いてみたい。