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ゲームを活用したビジネス研修の開発・運営で注意すべきたった一つのこと
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株式会社東風社 https://www.tofusha.co.jp/
代表取締役 幸本陽平
ゲーム研修における認識の「ズレ」
弊社はマーケティングを学べるボードゲーム「スウィート・マーケット」を提供しています。
こちらは単独でプレイするものではなく、弊社のマーケティング研修とのセットでご提供しています。
開発するにあたり、これまで様々な方にテストプレイをしてもらい、さらに体験会や実際の研修も数多く提供してきました。
総プレイ回数は100を超えると思います。
その中で、当初は意識していなかったある重要な点に気づきました。
それは
「参加者はゲームの勝敗を、こちらの想像以上に大切にする」
ということです。
私自身は、ゲームをあくまでもビジネスやマーケティングを学ぶためのプロセスとして設計しています。
勝敗の厳密さやルールなどは、ゲームとしてきちんと設計していはいるものの、実際の進行(研修の場)ではそこまで注意を払っていませんでした。
なぜなら、ゲームの目的は学びを得ることであり、競争や勝敗それ自体が目的ではないからです。
ゲームの勝敗=マーケティングの巧拙、ではもちろんないですし、実際のところ、「運」の要素も多分にあります。
※これは「ビジネスの成否は運の部分も多い」という意図も込めているので、決して勝敗の決め方が運任せのテキトーである、ということではありません。念のため。
ゲームをやるからには勝ちたい!
しかし、実際にテストプレイや体験会、研修を提供すると、参加者は私が思った以上に勝敗を気にするようでした。
「どうすれば勝ちなのか」
「最初はルールを把握するために行い、改めてもう1ゲームしたほうがよいのでは」
「得点経過をもっと厳密に把握したほうがよいのでは」
など、勝敗に関する質問や要求が数多く寄せられました。
「勝つ・負ける」は人間の本能に関わる部分なので、「やるなら勝ちたい!」と闘争心がくすぐられるのでしょう。
「あくまでも学びが主なので、勝敗はそこまで…」と説明すると、物足りなさを感じる参加者もいるようでした。
数多くのプレイを通じ、ゲームの勝敗(とそのプロセス)が参加者にとって極めて重要であることを実感しました。
勝敗が曖昧だったり、ルールに不公平さを感じられたりすると、せっかくの研修体験がストレスに変わってしまう可能性がある、と気づきました。
ゲーム研修の提供者が気をつけること
もちろん、研修に熱中してもらうことはありがたいことですし、真剣に取り組んでもらえるのは喜ばしいことです。
しかし、ゲームの勝敗自体は本質ではなく、あくまで学びを得るための手段である、とするのが私の認識でした。
この認識のズレが生じると、参加者の満足度が低下し、本来の研修目的が達成されにくくなる恐れがあります。
そこで、ゲーム形式のビジネス研修を開発・運営する際には、勝敗や得点などの「本来のゲーム部分」も強く意識することが重要だと気づきました。たとえば…
●ルールを明確に定め、事前に参加者にしっかり説明する。
●勝敗の基準を客観的に設け、不公平感を生まないようにする。
●参加者が納得できるようなルール、フィードバックや評価の仕組みを用意する。
こうした工夫をすることで、参加者が研修により集中し、充実した学びを得ることができる、とわかりました。
認識のズレをなくし、統一する
言い方を変えれば、学びが目的だからルールや勝敗にあいまいなところがあってもそこは目をつぶってね、では参加者は満足しないのです。
繰り返しますが、私の認識ではゲームの勝敗はあくまで手段であり、目的は学びの提供です。
しかし、参加者にとっては「ゲームはゲーム」です。
その過程や勝敗に納得感がなければ、いくら私が「それは目的ではない」と言っても、不満やストレスを感じ、本来の学びの目的も達成しにくくなります。
ゲームを活用したビジネス研修を成功させるためには、ゲームの勝敗などゲームそのもののルールや運営に注意し、参加者の視点に立った設計・進行を行うことが大切だと気づきました。
株式会社東風社 https://www.tofusha.co.jp/
代表取締役 幸本陽平
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