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母の飴と電車と年齢


母のハンドバッグは
ムーミンママみたいに
何でも出てきた

ハンカチ×2
ティッシュ×3
ウェットティッシュ
裁縫道具
絆創膏(大中小)
爪切り
痛み止め
酔い止め
正露丸
ビオフェルミン
仁丹
虫除け
痒み止め
ビニール袋(大中小)
メモ用紙
筆記用具

チョコレート
小さなおかき
……

まだまだあったが思い出せない
出先で困ることはなかった


なかでも美味しい飴をいつも持っていた

思い出深いリコラの飴を久しぶりに買った
懐かしい
母はレモンよりハーブが好きだった

ニッキに薄荷に生姜にハーブ
いつも香りの良い飴を持ち歩いていた


電車ですぐ
「あとなん駅?」
と一駅ごとに聞く私に
「飴いる?」
飴を渡され一緒に飴を頬張って
「この小さい紙で鶴折れるかなぁ?」
「折れるもん!」
一緒に黙々と鶴を折って見せ合った

姉は切符(懐かし過ぎる!)の4桁の数字を
加減乗除を駆使して10にするのに夢中だった
一度だけ降りるまでに10にならなかったことがあり
母にメモしてもらって
帰ってからもずっと10を目指し計算していた
見事に10になったそうだが
計算の方法を何度聞いても分からなかった


仕事をしていた時
サッと気分転換出来るよう
母を真似て飴を持ち歩いていた

ある時
「いつも美味しい飴持ってる」
突然言われて嬉しくなった

その日は今日みたいに寒くて
辛いくらいの生姜飴を持っていた
風邪の引き始めの喉の痛みに
辛いほどの生姜が美味しかったらしく
「どこで売ってるの?」
パッケージを見せて
「〇〇店に置いてあると思う」
使う駅が違うのでお店の名前を伝えた


仕事をお休みして長く
持ち歩く飴の種類が減ったなぁ
そう思い久しぶりのリコラ
小さめで美味しい

包み紙で鶴は
眼鏡かけないと折れなかったし
あの頃の角をビシッと決めた鶴でなく
母の鶴になった

母が私を産んだ歳をとうに越え
おぉあの年齢の時
母の身体はこういう局面に居たんだ

今だから分かる有り難さ
反抗期凄かったね



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