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プロローグで終わる物語

物語にはプロローグがあり、本編があり、エピローグがある。

決してプロローグで終わる物語など存在しないはずで、むしろ、プロローグで終わるならばそれは「物語」と言うに相応しくない。

けれど、不思議なことに、僕らの生きる世界ではプロローグで終わる物語がたくさんある。


人はみな作家だ。

「人生」という一つの物語を作り上げるために、書いては消して、時にはダメ出しを喰らい、それでもなお書いては消してを繰り返す。

第二の人生とか、新しい人生とか、大人になってからが第二章とか、勝手に見出しをつけるけれど、実際は、プロローグだけ完成して本編に進まないことがほとんどだ。

いや、プロローグの途中で終わってしまうことがほとんどか。

そうやって、ボツになった原稿をたくさん抱えている。

就活で描いた3年後の自分、転職で描いた充実したセカンドキャリア、理想の30代、理想のライフプラン、もっと身近なところで言えば、ダイエットや自分を変えるためのささやかなプロジェクト。

エピローグまで描き切れた作品はあるだろうか。

何かを始めること、一歩踏み出すこと、そしてそれを継続すること、目標に向かってやり切ること、これらはすごく難しい。

だから時間がかかって当然だし、すんなりいく時はすんなりいってしまう。

もしかしたら自分の人生だけ「プロローグ」がやけに長く設定されているかもしれないし、自分が思っていた以上に長編になってしまうかもしれない。


もう辞めようか迷う時、出だしで躓いた時、出鼻を挫かれた時、「今はまだプロローグ」と思うか「別な物語を描こう」と思うか、それは作家としての腕が試されている。

人はみな作家だ。

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おがたのよはく
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