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金曜日の夜に戻れたら

金曜日の夜のあの無敵感がたまらない。

どれだけアルコールを流し込もうが、遅くまで起きていようが、次の日は本能のままに目を覚ませば良い。何にも縛られることはない。

もし仮に、土曜日を無駄に過ごしてしまったとしても、僕らには「日曜日」がある。

金曜日の夜の時点では残り二機あるから、ほとんどそれは無敵な状態と言える。

しかし、日曜日になると、途端に金曜日の夜が恋しくなる。

金曜日に夜更かしすべきではなかったとか、土曜日にもっと生産的なことをしておくべきだったとか、藁にもすがる思いで時計の針を見て後悔する。

思えば、修学旅行でも、最終日になると行きのバスからやり直したくなったし、恋人とのデートも、別れ際になると待ち合わせからやり直したくなった。おかげで、頭の中のタイムマシンは随分使い古されている。

僕らは、過去を悔やんだりあの頃に戻りたいと願うのが得意だから、いつもこうだ。

学生の頃は、在校生を見て1年生に戻りたいとか中学校からやり直したいと思ったり、社会人になったらなったで、学生生活が恋しくなったりする。

それだけ色鮮やかな過去の思い出がある、と思えば大人になった今の自分を肯定できるけれど、そんな前向きな考えができるなら金曜日の夜にここまで執着していない。

大人になると、あの頃の学生生活よりもとにかく金曜日の夜が恋しいのだ。

金曜日の夜を待ち侘びる時もあれば、過ぎ去った金曜日の夜を悔やむ時もある。金曜日の夜は毎週一度しかやってこないから。

金曜日の夜を50回くらい過ごすと1年が終わるらしい。

それを何十セットか繰り返すと人生が終わる、そう考えると人生とはあまりにも刹那的で儚い。

一年間で無敵になれるのは50回。

50回のチャンスがあるなら、半分くらい無駄遣いしても何かしら決意したりチャレンジできるかもしれない。

どうせ何か新しいことに挑戦しても、それはそれで「もっと早くやっておけば良かった」と後悔するに違いないけれど。

だから、常に“今”が金曜日の夜ってことなんだよな。

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おがたのよはく
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