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「嫌いじゃない」ではなく、好きなら「好き」と言わないと。

「どちらかといえばそう」
「嫌いじゃない」

そんな言葉ばかり使っていると、だんだん自分の本心が分からなくなっていく。

好きなものには「好き」と言っておかないと、「これは好きなものだ」という仕分けをしておかないと、自分が本当に好きなものが何か、分からなくなる。

僕らは大人になるにつれて、誰かを傷つけないための言葉、言い回しを覚えていく。

好きか嫌いか、白黒はっきりさせてしまえば都合が悪くなる。だから、「どちらかといえば」という前置きをして予防線を張ってみたり、「どっちも良い」などと言ってみたりする。

誰も傷つけない言葉は、誰にも響かない。

そんな、誰かのためを思ったつもりの言葉を重ねていくと、自分の気持ちも埋もれていく。

「自分は何が好きなのか」
「自分は何がやりたいのか」
「自分はどうしたいのか」

誰かに対して「好き」を伝える時、何かに対して「好き」を思う時、外に対して発信しているのと同時に、自分自身という“内”に対しても発信している。

「自分はこれが好きなんだ」

誰かに発信しているようで、自分に発信している。
何かに思っているようで、気持ちを確かめようとしている。

「好き」という気持ちに素直になって発信した分、「好き」という気持ちを丁寧に確かめた分、「好き」という気持ちの輪郭ははっきりしていく。

だから、「好き」と感じるなら、そのまま受け取った方が良い。

「嫌いじゃない」と言わなきゃいけない理由、何かあったっけ。
「どちらかといえば」なんて前置き、いっそ捨ててみたらどうだろう。
「あの人ほど好きじゃない」とか、勝手な基準で判断していないだろうか。


たとえ、好きなことで生きていけなかったとしても、好きなことが仕事にならなかったとしても、せめて「好き」という気持ちには素直でいたい。

今までに出会った「好きな何か」は、これからも「嫌いじゃない何か」のままかもしれない。

けれど、これから出会う何かを「好き」と思えた時は、迷わず「好き」という言葉を使いたい。


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おがたのよはく
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