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拒絶、断章。

私を流れる主題のひとつは、「拒絶」だ。

私は寝食を拒絶する。
眠りたくない、食べたくない。
食事には異物感、安らぎには違和感を抱く。
身体への、心への侵蝕を私は拒絶する。

私は他者を拒絶する。
何も聞きたくない、誰にも会いたくない。
私に居場所なんかいらない。
ホームから遠く離れてこそやっと私は存在できる。
私は居場所なんか作らない。
身体を横たえることなんて、生涯できなくて結構だ。

私は私の思索を拒絶する。
私は私の感情を拒絶する。
私は私の感覚を拒絶する。
私は私の性を拒絶する。
私は私の身体を拒絶する。
私は私の生命を拒絶する。
私は世界を拒絶する。
私は私自身を拒絶する。

そうして弾いてはじいてはじいて拒みつくして、
やがて、私の実存は、虚ろになる。

私は私の実存を拒絶する。

いつまでこんなことをくり返すんだ、と鴉がとんで来て、いう。
いつまで、いつまで、いつまで。
僅かな食べものを隠れて嘔吐する私に、人の情を怖れて闇の中で身体を傷つける私に、鴉が問う。
いつまで、いつまで、いつまで。

大音声の鴉に、眼はついていないのだ。

ときどき、森へ入る。夜の森に入る。
闇が深ければ深いほど、森は僕をうまくのみ込んでくれる。

怖くはない。
そこにあるのは明確に死だ。

怖いよ、帰ろう、ね、帰ろうよ。
私は決して死にたくない。

僕は生きるのがとても厭なのだ。
人間は、とてもうるさい。
彼らは、いつも僕を酷く混乱させる。

静謐、これこそが僕の唯一受容できるもの。

寂しいよ。
ねえ誰か、誰かいませんか。
このままでいていいわけがない。

いつまで、お前はこんなことを続ける気なんだ。

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