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短編小説 ほれ薬7

つづき

その時、わたしの目に入ったのは薬ではなく包み紙の方だった。
そこには細い字で注意書きが書いてあったのだ、幾度も目に入っているはずなのに、紙の皺だとばかり思っていたのだ。そしてそこにはこう書かれていた。
「フードマジック 食べると恋が叶う」
!誰か特定の相手に飲ませたりするものではなかったのか。自分で食べることによって恋を叶えようというのか。
もしそうならこれをわたしが誰かに、たとえば麻里にあげたら、麻里がこれを飲ませた男の恋愛運が良くなるというだけの話だったのかも知れない。
だったらわたしが試してみたい。なぜかわたしはこれをくれた老人を疑う気にはならず、毒であると思いもしなかった。
そしてテーブルに転がっている水晶のような粒を摘み上げ、口に入れた。
それは最初からチョコレートであったかのように甘く、口に溶けた。

つづく

次回、結び




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