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短編小説 ほれ薬8 結び 

つづき 完結

・・・・

あれから薬のことを思い出すことはあまりない。
うん十年が過ぎていた。年のことを言いたくないからぼかしておく。
わたしはあれからすぐ、今の旦那と結婚した。あの薬のせいだとは思わなかった。なぜならほとんど忘れていたからだ。でもそのことを思い出すと、ひょっとするとそれの効果のせいかも知れないと思えるのだ。
そして今、旦那の顔があの時の老人のおもかげに似て来ているような気がするのだ。気のせいかもしれない。
そして旦那は最近、タロットなどを始めた。また、漢方を研究し風邪薬や胃薬として使っている。ただのサラリーマンなのに怪しげな呪術師のようだとわたしはからかう。
そしてもう一つ気になることがある。
それはわたしがかつて通っていた会社の側の九丁目に新しく銀行が出来たことだ。
偶然かも知れない。
でも、こう考えたらどうだろう。
うちの旦那がもっと年をとって、その辺を歩いている時、ふと、過去の私がその世界に~つまり未来に迷い込み、そこで旦那は私に似た若い女に好意で自分の作った怪しげなまじない食品を提供する。それが過去で自分と妻であるわたしと巡りあわせるとは知らずに。
わたしはそんな空想科学的なことは信じない。スピリチュアルとか占いとかも信じないのだけど、
でもたまに新しく買った慣れないハイヒールで足が痛む時に、そのことを思い出すことがあるのだ。

完結




ココナラ
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