ヨガの八支則:ヤマの抽象化
ヨガの修行段階である八支則の一段目、ヤマ(禁戒)には、やってはいけない5つの行為が定められている。過去の記事でそれら一つ一つを深掘りした結果、5つの項目には共通する点がある事が見えてきた。今回は5つあるヤマの項目を抽象度を上げて考えてみよう。
振り返り:ヤマとは
アヒンサー(非暴力):自他に対する暴力の禁止
サティヤ(正直):自他に対する嘘の禁止
アスティヤ(不盗):物に限らずあらゆるものを盗む事の禁止
ブラフマチャリア(禁欲):性エネルギー浪費の禁止
アパリグラハ(不貪):貪り求める事の禁止
ヤマとは己を見つめ受け止める事
ヤマで掲げている全ての項目は自分を見失ったときに犯してしまう項目だ。人や自分を傷つける時は周りが見えていない。嘘を言う時は自分の本心を隠している。不必要に求めてしまうのも今の状態を客観的に見えていないからである。
ヤマを守るには自分の感情と思考を見つめて言動に反映させる必要がある。そして感情と思考を見つめるには一歩距離を置くことが必要だ。距離を置くとよく見えるようになり、受け止められるようになる。そして流されなくなる。最適な言動が自分の内側から自然と出てくるようになるのだ
ヨガは心の働きの停止とヨーガスートラは説く。しかし、止めるとは心にあらがう行為ではない。心を受け止めて、ただ眺める事で徐々に動きが小さくなっていく状態のことをいうのだ。
ヤマも己を抑圧する事ではない。己を見つめる事で不要な言動が自ずからなくなっていく事が本質である。
実は瞑想も同じことをしている。精神統一、無の境地とは無理やりその状態を作る事ではなく、結果としてその状態になる事を指す。揺れ動く心の働きを見つめ、受け止めているとそれが静かにやってくるのである。
ヨガスタジオで行われているヨガも、感情と思考にフォーカスする事で動く瞑想となる。ぜひ試してほしい。
ヨガ哲学の入り口である八支則の学びを通じて、ヨガのさらなる魅力を知ってもらえたら幸いである。
ヤマのまとめ
ヤマを守るためには
自分の感情の動きを見つめる
そのために感情から一歩距離を置く
感情から距離を置くと、感情がよく見えるようになる
見えると受け止められるようになる。感情に流されなくなる。
最適な言動が自分の内側から自然と出てくるようになる。
ヨガ哲学を学べる電子書籍
Kindle Unlimitedには、ヨガの考え方を手軽に学ぶことができる良書が多くある。ヨガに興味のある方に、ヨガ哲学の本をぜひ一度手に取ってほしい。きっとエクササイズ以上のものがヨガを通じて感じられるようになるだろう。
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