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2021年どんな音楽を聴いてた?②

今年は毎月1カ月単位で聴いていた音楽を『最近聴いてる音楽たち』と題してnoteで書き続けてきました。『年間ベスト』なるものを書いて満足して音楽をその年に置き去りにしてしまう感覚があって、今年描くことに対して前向きにはなれずにいました。ただ確かにこの年にしかないその楽曲との繋がり、結びつき、作り手との同時代性を綴るのであれば今やるべきだと思ったので、もしかしたらこれはとても大切なことなのかもしれないと200周くらいしたところで感じました。
パート1ではボーイズグループやガールズグループなどに焦点を置いて書いていきましたが、今回は特に制限なく書いてます。

DYGL / Half of Me

最高。これに尽きる。
DYGLがガレージロックリバイバルの呪縛から解放されて新しい現行のインディーロックへと突き進む幕開けの楽曲になった"Half of Me"。
シンプルかつ高揚感のあるイントロから始まり、煽られるように今の世界の現状を嘆きつつも新しい生き方を高らかに歌う。
Ykiki Beatでの"Forever"以降、アンセム曲をあまり書いてこなかったイメージのあるDYGLが今作ではアンセム曲を書いている。今の世界にはそういう曲が必要であると彼らはきっと知っているのだろう。

Conor Albert / Keep Your Faith

Tom Mischに影響を受けたアーティストがもう続々と出てきている。Conor AlbertはTom Mischと同じサウスロンドン出身の22歳。
様々な楽器を1人で演奏し、ビートまで作るマルチプレイヤー。アルバムリリースはされていないがこれまでリリースしてきた楽曲はどれもキャッチーで耳馴染みのいい楽曲ばかりでつい踊り出したくなってしまうこと間違いなし。
特にこの"Keep Your Faith"は何度でも繰り返し聴けるほど新鮮な空気感を身に纏っている。Tom MischやFKJのグルーヴを継ぎつつポップにアウトプットしていく彼のスタイルは今後要チェックです。

Brasstracks / Still Life feat. Tori Kelly 

つい先月のnoteでも紹介したBrasstracksTori Kellyの楽曲"Still Life"。やっぱり名曲でした。
何度聴いても気持ちがよくて、この曲の魅力が今後も色褪せることは決してない。優しく、切なく、美しく。Tori Kellyの甘く切なげな歌声がBrasstracksのビタースウィートなトラックを包み込む。秋や冬のオールタイムベストな楽曲になっていくのだろうと感じている。

mabanua feat.Orono & Lennon

最高にちょうどよくて、最高に気持ちいい。
mabanuaのトラックにSuperorganismOronoが作詞で参加し、Oronoの友人のLennonと共に歌唱している楽曲"Coffee Excess"。
mabanuaの作る緩いノリのトラックにOronoの書くいかにもOronoらしい「世の中クソだしよく分かんないことだらけだけど頑張るしかない」というメッセージ性が非常に今の自分のメンタルが刺さる。励ましでも共感でもないただ愚痴ってるような歌詞に自分の肩の力も自然と抜ける。頑張れない日も頑張りすぎた日もCoffee Excessでやっていこう。

Gym and Swim / Song 4 U

タイのバンドGym and Swimからエバーグリーンな名曲がリリースされました。ここまでのエバーグリーン感はThe1975の"Me and You Together Song"以来。
これまでのGym and Swimのトロピカルでインディーポップなテイストとは少し変わったピュアで真っ直ぐなポップソングで、この優しい空気感に思わず溶け込みたくなるほどです。聴いた瞬間に口角の上がる人を幸せにする音楽ここにあり。

サカナクション / プラトー

「おかえりなさい」そんな気持ちです。
ここ数年のサカナクションを、なんだかなあという気持ちで見ていた僕にとってこれほど嬉しい曲のリリースはなかった。10年前のサカナクションのような時代の使命感を背負った山口一郎の姿を久しぶりに見た気がする。同調ではない様々な感情の共有のアウトプットがこの楽曲にはある。従来のサカナクションに存在したそんなアンセムをサカナクションは取り戻した。声の出ない閉塞感のある日常を最後の合唱に全て込めたのではないか、そんな風に感じた。

羊文学 / マヨイガ

静かな疾走感、ささやかな祈り。
生きていくことの大切さをエモーショナルでオルタナティブな演奏に乗せて歌い切る羊文学が第一線で鳴らし続けてることが嬉しくてたまらない。
"行け 行け その明日がきみを苦しめようと
行け 行け 痛み知る優しい人でありなさい"
どのフレーズ、どの言葉も手からこぼしたくないほどに大切さで溢れている。抱きしめていきたい、噛み締めていきたい。そんな曲です。

Base Ball Bear / ドライブ

2020年から始まったこのニュースタンダードな生活。そんな日々のこと、些細なことを歌にして、毎日を進めていくためのヒントを描いている。悲しみや怒り、それでも存在する喜びや楽しさのどちらでもない淡々と進んでいく外側にある日常を歌にした曲。ゴミ出しや入浴剤、忘れ物、靴紐。日々の中にある極々ありふれた"なんでもないこと"、みんなそんなことを繰り返しながら生きている。生きている。生きているのだな人は、改めてそんな実感を噛み締める曲です。アウトロのギターソロに小出祐介の全ての言い表せないエモーションが詰まっていると思っている。

星野源 / 不思議

2021年、圧倒的な愛の歌です。
"ラブソング"というよりも"愛の歌"。どんな関係性やジェンダー間、同種でなくても感じる愛のことについての歌。こういう時代になると途端に愛という存在は大きく偉大なもののように感じるけど、それを育てるのはいつの時代も僕らであって、不器用でもよく実体が掴めないままでも大切に穏やかに育てていかなくてはいけないのだなと思う。
愛の歌も愛の詩も数えきれないほど地球には存在している。だけどいまだに未解明。愛とはなんだろう、僕らはなんなのだろう。そんな風に不思議に思いながらいつだってあなたのことを思うのだろう。

まとめ

2021年は昨年に比べて音楽を聴く機会が減り、音楽を掘ったりしていくことに対する熱が下がっているなあと感じました。それでもやっぱり音楽に助けられた瞬間があったり、思い出に音楽が付随していたり、自分の人生において月並みな言い方にはなりますが、かけがえのない存在だと改めてこうして振り返ることで思います。
こんな時代であっても音楽をただ消費するのではなく、僕らで率先して大切に日々口ずさみあって身体を揺らしあって音楽と共存していきたいと思っています。

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