マックス・ブロート版の加筆
『雑種』では、大きな違いがいくつかあります。
語り手は、日曜の午前(集英社版は午後)に限って子供たちに羊猫を見せている。その際、子供たちからさまざまな質問が飛んできます。
批判版では質問の描写はありませんでした。
ところが史的批判版には質問が飛び交っています。
犬にもなろうとしている羊猫
マックス・ブロート版はさらに長い加筆がされています。
話は進み、半分羊と半分猫である動物は、さらに犬にもなろうとしている描写されています。
批判版、史的批判版にもこの描写はありません。
こまかい描写の違いはもっと探せばあると思いますが、ドイツ語がわからないので、比較できません。
とはいえ、これだけ違うと、なにを基盤にしていいのかというのは、難しく、実際にさまざまな議論があります。
たとえば、国会図書館デジタルコレクションに一部所蔵されている、「批判版カフカ全集」の意義と限界 : フランツ・カフカの遺稿をめぐる編集文献学的考察 なども参考になります。
参考:カフカの『変身』を読めば性格診断ができる? 村上春樹も影響された不思議な世界