よだみな

趣味でLINE STAMPを作っています。 https://store.line.me/stickershop/author/1293413/ja

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最近の記事

猫同士の言葉ではない意志疎通を観察する

猫サイトでは、大人の猫は、ヒトに対してしか鳴くことはないと言われています。一方、猫同士はというとまた別な方法をもっているようだ。 猫同士のケンカとか興奮のあまり声を発するのとはまた別な話のようです。そんな中で見える、猫のコミュニケーションの現場を書いていきます。 猫の紹介 保護団体から仲のよい猫二匹を譲りうけた。血縁はない。おそらく同い年だろうとのこと。 ゴブは家の階級では最上位に君臨する。なでたいときにしかなでさせない。冬場は膝にのる。なでてもらいときはかわいい声を

    • カフカ『雑種』で比べる版と訳のちがい その2

      マックス・ブロート版の加筆 『雑種』では、大きな違いがいくつかあります。 語り手は、日曜の午前(集英社版は午後)に限って子供たちに羊猫を見せている。その際、子供たちからさまざまな質問が飛んできます。 批判版では質問の描写はありませんでした。 ところが史的批判版には質問が飛び交っています。 犬にもなろうとしている羊猫 マックス・ブロート版はさらに長い加筆がされています。 話は進み、半分羊と半分猫である動物は、さらに犬にもなろうとしている描写されています。 批判版、史

      • カフカ『雑種』で比べる版と訳のちがい その1

        カフカの小説は、版によって内容が少々違う カフカが1924年に亡くなった後、友人のマックス・ブロートがカフカの遺稿の管理人となりました。 カフカ自身は遺言で、すべての遺稿を焼却するように、友人のマックス・ブロートに頼んでいましたが、ブロートは自己の信念に従い、生前未発表であった長編『審判』、『城』、『アメリカ(失踪者)』を始めとするカフカの遺稿を次々と公刊していきました。 ブロートによるカフカの遺稿の編集・刊行は、カフカの国際的な受容に大きく貢献しましたが、これらには批判的

        • 2022年読んだ本ベスト10

          1.『秘密の知識―巨匠も用いた知られざる技術の解明―』 ディヴィッド・ホックニー 青幻舎  『いい絵だな』で紹介されていて、あまりにも衝撃的だったので、いったん、読むのをやめて本書を借りて読んだ。  ルネサンス以降の絵画が光学機器を使ってトレースしていたという説をあらゆる角度から論証していった本である。  以下はこちら 2.『プロジェクト・ヘイル・メアリー』アンディ ウィアー 早川書房  あらすじすらも語りたくないくらい、ネタバレしたくないので、とにかく読んでほしいとし

          2022年に観た映画ベスト10

          1.リーマン・トリロジー  正確には映画ではなく、ナショナルシアターの芝居動画なのですが、すばらしすぎて今年の1位。  演出はサム・メンデスで、これまでの最高傑作の呼び声も高く、実際、監督の中で一番好きな作品となりました。  1884年に米国移民としてやってきたリーマン家の男たちが、綿花仲介業から米国有数の投資銀行になり、リーマンショックを引き起こすまでの124年を、おじさん3人の俳優が演じます。ガラスに囲まれたオフィスを舞台の出ずっぱりで3人が、老若男女主役わき役語り手を

          2022年に観た映画ベスト10

          絵画論3冊

          この秋に読んだ絵画を語る3冊がおもしろかったのでまとめ 『いい絵だな』伊野孝行、南伸坊 集英社インターナショナル  描き手の視点から観た絵画論である。基本好き嫌いで語っていいとはいいながら、いろいろ画家の見方が変わる本であった。  例えば、初期のセザンヌの絵画があまりにもヘタななところから話が展開し、果物がカゴにちゃんと入るように描けなかったことから、開き直って持論をぶちあげたところ、うまい絵しか描けなかったピカソなどが食いついてきて、キュビズムに発展していったなど、いろ

          絵画論3冊

          『においが心を動かす ヒトは嗅覚の動物である』 第3章までのまとめ

          『においが心を動かす ヒトは嗅覚の動物である』を読んでいる。 第3章になって、ようやくおもしろくなってきたので、メモ。 1991年に嗅覚受容体遺伝子が発見されたことで、嗅覚の研究は一気に神経科学の主流に躍り出ることになった。これまで容易でなかった研究に、突然に資金が集まり、研究者の数も激増していく。そして観察できないものを視覚化し、不確かなものを測定できるツールが開発されたようになった。つまり、この20年でこれまでの数百年のすべてを合わせたよりも凌駕する成果が得られたのだ。

          『においが心を動かす ヒトは嗅覚の動物である』 第3章までのまとめ

          『ののちゃん全集』と『ドーナツボックス』の、ROCA登場回まとめ

          8月21日更新 徳間書店『ののちゃん全集』と『ドーナツボックス』における、吉川ロカの登場回をまとめました。 読み返してみると、単行本の未収録や登場しなかった人物などもいましたし、新たに描きなおして単行本に掲載された回もありました。また、単行本を読むことによって、ロカのキャラクターが深みがでた感じがします。 ロカの登場は、全集7と8に集中しており、プロの歌手になってからは、柴島も含めて登場回も減っていきました。 ののちゃん全集 吉川ロカ登場回 ののちゃん全集7 200

          『ののちゃん全集』と『ドーナツボックス』の、ROCA登場回まとめ

          2021年の読んだ本のこと

          2020年に読んだ本で圧倒的に面白かったのが、ベン・マッキンタイアー『KGBの男』だった。(ちなみに2020年愛すべき本は内澤旬子『着せる女』) 2021年は82冊読んだが、昨年ほど強い思い入れはないので、図書館で借りた本を含む13冊をざっと紹介する。本の内容はリンク先の出版社サイトを参照ください。 呉 明益/小栗山 智 訳『複眼人』2015年6月に『歩道橋の魔術師』刊行イベントの際に、著者がパワポで『複眼人』の紹介をした。その中に海に渦巻くゴミの画像があったのだけは覚えて

          2021年の読んだ本のこと

          今年のベスト1は『KGBの男:冷戦史上最大の二重スパイ』。

          さて、今年のベスト1は『KGBの男:冷戦史上最大の二重スパイ』。 名作映画『裏切りのサーカス』の原作『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』は、MI6の中にKGBに情報を流しているスパイを探す話ですが、これには実在のモデルがいました。この男によりMI6は壊滅的なダメージを受けたのですが、本作はその後の話で、KGBにいながらMI6に情報を流し、KGBに相当のダメージを与えたスパイの話です。 主人公のオレーク・ゴルジエフスキーは「作家は文学によって政権を批判してきたが、自分

          今年のベスト1は『KGBの男:冷戦史上最大の二重スパイ』。