【資産形成】初めての資産形成は何も考えずにこれだけ買っとけばいい
私のプロフィールに「株と不動産で1億円つくる!(東条俊介著)の取材協力・掲載あり」とありますが、その中で、私が課長時代に部下の若手社員にほぼ強制的に投資信託の積立購入をさせた話があります。
リーマンショックで世界中の株価が暴落している真っ最中というタイミングもあったのですが、まあそれ以外にも理由があって「業務命令だと思ってやれ!」と、とある投資信託を指定して買わせました。
実際、証券会社の口座を開設して、指定した投資信託の積立購入手続きを取ったかどうかまでチェックしましたから、今考えると完全なるパワハラ上司でしたね。
ただ、結果として私に強制されて積立をしてきた投資信託で、部下たちは自宅購入の頭金として役立ったり、海外留学をしてMBAを取得しに行く費用を賄えたりして、「やってて良かったです!」と感謝してくれたんですよ。
■何をどう買えばいいのか!?
noteには、資産形成をするためには「どんなことに気を付けて、どんなものを、どういうふうに買えばいいのか」といった内容を詳しく丁寧に解説している記事がたくさんありますので、いろいろと検討した上で、資産形成を始めたい人は、そういった詳しい記事を読み込んで頂くのがいいと思います。
ですが、まあ、誰でも最初は「とりあえず、どうすればいいのよ?」というのが知りたいと思いますので、まずは結論から申し上げます。
<S&P500のインデックス投信を毎月定額で積立購入すればいいです。>
はい、以上、終了です。
これだけ。これだけやっておけばいいです。
えっ、それじゃあ初心者には良く分からない、ですか?
じゃあ、どちらかを選んで決めてください。
1.楽天証券で口座を開設して「eMAXISSlim米国株式(S&P500)」という投資信託の定額積立購入の手続きをする。
2.SBI証券で口座を開設して「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」という投資信託の定額積立購入の手続きをする。
はい、これだけです。
もう、何も考えずに、どちらかを選んでやってください。
以上、終了!
■さすがにもうちょっと知っておきたいですか?
なんだか、いきなり「いいから、これだやっておきな!」と言われて、少々戸惑ってるあなた。
「とりあえず、どうすりゃいいのよ?」と言われたから、私はこれだけやっとけばいい、ってことを書いたんですが、まあ、さすがにもうちょっとは知っておきたいですかね。
じゃあ、ちょっとだけ解説します。
まず、S&P500インデックスっていうのは、米国の代表的な500社の株価の平均値、厳密に言うと加重平均した指数です。(本当はもっと詳しい解説もあるんですけど、まあこの程度が分かっていれば十分です。)
次に投信ですが、これは投資信託の略です。
その名のとおり、投資することを信じて託するものでして、「この商品はこういう投資をしますよ、と宣言するから、それを信じて投資資金を託してね」っていうのが、投資信託という金融商品です。
なので、S&P500インデックス投信は、米国の代表的な500社の株価の平均値に投資する金融商品ということになります。まあ、米国の株価が上がれば儲かる商品だと理解してください。
で、このS&P500インデックス投信はいくつかの運用会社から販売されているんですが、運用をするための手数料(信託報酬)が各社で違っていて、この手数料の安い上位2つが「eMAXISSlim米国株式(S&P500)」と「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」なんです。
それぞれの信託報酬は、2020年9月現在で、eMAXISSlimが0.0968%、SBI・バンガードが0.0938%となってます。
まあ、ほぼ誤差の世界と言っていいんじゃないですかね。
証券会社を楽天証券とSBI証券としたのは、使い勝手と分かりやすさからです。
楽天証券は、楽天銀行、楽天カード、楽天市場に楽天ポイントという、楽天の経済圏で自らの経済活動を行っていると、非常に使いやすく、お得になる証券会社で、「eMAXISSlim米国株式(S&P500)」を取り扱っています。
SBI証券は、「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」を扱っている唯一の証券会社なので、信託報酬が最も安いS&P500のインデックス投信を購入しようと考えたら、ここ一択ということになりますね。
どっちがいいのかと問われれば、まあ最初は楽天証券が使いやすいんじゃないですかと思います。
楽天カードも年会費無料のカードですし、楽天銀行もそこそこ使いやすいし、何より投資信託や株の売買をすると楽天スーパーポイントが貯まりますから。
さらに楽天証券では楽天カードで投信の積立購入を決済できますから、給与振込口座から証券会社の口座へ資金を移動するっていう手間が省けるという点でも一歩リードです。
■さらに知りたいですか?
えっ、積立で買うって積立NISAってやつを使うのか、ですか?
そうですよね、投資信託の積立購入をするっていうと、まあ普通に「それって積立NISAでやればいいの?」っていう疑問がフツフツと沸いてくると思います。
ここもズバリ申し上げます。
積立NISAは使わないで、普通の積立購入をしてください!
なぜか、ってですか?
積立NISAの利点はあるんですが、デメリットも沢山あるんですよ。
まあ、いろいろあるんですが、一番分かりやすい理由は「一般NISAと併用できないから!」ですね。
一般NISAは、1年間の中で好きな時に、好きなもの(個別株、投資信託)を、好きなだけ(NISAの年間金額枠のなかで)買えるというものでして、資産形成としての投資をこれから始められる方には、NISA枠の活用は積立NISAではなく一般NISAで活用して頂きたいと思います。
というか、絶対、インデックス投信の積立購入だけで終わることなく、他の投信や個別株に興味が出てきますから、その時のために一般NISAの枠をとっておいてください。
念のため、積立NISAのデメリットを列挙しておきますね。
1.非課税枠(上限額)が少ない
2.投資できる商品が限定されている
3.スポット投資(一括投資)ができない
4.損益通算・繰り越し控除ができない
5.所得控除になるわけではない
6.元本割れリスクあり
■資産形成を始める時にやっておいた方がいいこと
資産形成を始めるには、楽天証券かSBI証券に口座を開設してS&P500のインデックス投信(商品名まで書きましたよね)を毎月定額で積立購入する手続きをすればいい、っていうとっても分かりやすく、多数の金融業界の方が言うところの「結局、S&P500を買っておけばいいだけなんだけど、それじゃあ商売にならないしね」っていう話なんですが、じゃあ、毎月いくらを買うかっていうことを決めないとならないですよね。
家計を握っている主婦の方であれば、「毎月、積立購入できる金額」っていうのがすぐに頭に浮かぶと思うんですが、まあ普通は「大体1万~2万円なら無理ないかな~」とかっていう感覚で決めるんじゃないかと思うんですよ。
ただ、この時に是非一度、やって欲しいことは毎月の固定費と変動費をざっくりでいいので把握してみて、どのぐらい変動費の幅があるか、っていうのを掴んでおいて欲しいんですよね。
ちなみに固定費っていうのは、家賃、水道光熱費、食費、生活雑費の他、携帯電話料金とかヘアカット代とか毎月一定額が固定的にかかる費用で、それ以外のものは変動費(使う時と使わない時がある費用)と理解してください。
固定費=生活必需コスト、変動費=それ以外のコスト、でいいです。
この変動費が毎月いくらありそうなのか、をざっくりでいいので確認したら、その中から固定費として資産形成にいくら回せるのかを考えればいいでしょう。
投資信託の積立は毎月1,000円からでも始められますけど、資産形成という主旨を考えると、最低でも1万円、できれば3~5万円ぐらい頑張ってみてはいかがですかね。
大まかなシミュレーションですけど、1973年から2018年までの長期的なS&P500の利回りは年平均で7.1%なので、毎月4万円の積立を20年間実施すると約2,100万円ちょっとの資産形成が出来上がります。
何も考えずに25歳から資産形成を初めて45歳の時には、2,000万円超の資産になっていれば、とりあえずは安心できそうですよね。
こちらにeMAXISの積立シミュレーションのページがあるので、いろいろと試算してみてください。
https://emaxis.jp/sbisec/special/tsumitate/index.html
■部下にはどんな業務命令を出していたのか
参考までに、冒頭、私が部下に業務命令としてやらせていたのは、時間外労働分の賃金のほぼ全てを投資信託の積立購入に回すことでした。
その時の部署は、経営企画部門の事業戦略担当という毎日夜遅くまで色々な数字をにらめっこするような部署で、相当な時間数の時間外労働をする部署だったんです。
通常の給与額に上乗せになる時間外労働の賃金ですけど、そこそこの金額の時間外労働分が上乗せになった給与を貰っていると、それが普通の生活金額になっていってしまうんですよね。
ざっくり言うと、通常の給与が20万円で、そこに時間外労働分が毎月15万円以上が上乗せされて、あたかも毎月の給与が35万円超になっているような状態です。
もう、変動費の最たるものですよね。
部下たちが、常に時間外労働が必要な組織に在籍していればいいのかもしれませんが、いずれはそんなに時間外労働をしない部署に回るわけですから、時間外労働ありきの賃金レベルで生活していると、時間外労働がない部署に回ったら生活が破綻しちゃうんですよ。(特に家庭持ちの場合はヤバいです)
なので、私の部署に来た部下には、基本的に時間外労働分のほぼ全てを「SMT グローバル株式インデックス・オープン」という投資信託の積立購入にあてるようにしていたんです。
(当時はS&P500インデックスの投資信託が存在しませんでしたので、先進国株式インデックスを指定してました。)
リーマンショックで大きく目減りしていく時間外労働分でしたが、立ち上がり始めたら凄かったですからね。
そこそこの積立金額とリーマンショック時の下落時から回復、そして立ち上がりという幸運もあって、私の業務命令は大成功を収めてくれました。
リーマンショックやら、今年のコロナショックやら、株式相場が大きく下落するリスクは常にありますが、地道にS&P500のインデックスを積立購入していれば、ちゃんと資産形成できますから、まあ、最初は何も考えずに言われたとおりやってみてください。
インデックス投信の積立から初めて、いろいろと投資に興味が持てるようになったら、様々なインデックスを組み合わせたり、個別企業の株式投資を初めてみたり、投資の幅を広げていけばいいんじゃないかと思います。
■最後にそもそもなぜS&P500なのか
こちらの「S&P500の長期チャート」をご覧頂ければ、私の言っていることをご理解頂けると思います。
1970年より少し前からの月足長期チャート(月足←1本の線がひと月の株価範囲)がこれです。
2000年から2003年にかけての大きな暴落は、ITバブル(ドットコム・バブル)の崩壊と2001年9月11日に起きた米同時多発テロによるものです。
2008年から2009年にかけての暴落は、いわゆるリーマン・ショックですね。
でも、チャートを見てみて下さい。
モノ凄い勢いで回復するんですよ、米国株は!
大暴落が起きても、その後の5年ぐらいで株価を戻してくるんです。
なんだかんだ言っても、米国株は強いんですよ。
一方、こちらの日経平均(N225)の月足長期チャートを見てください。
最近は「30年ぶりの日経平均2万8千円突破!」(2021年1月現在)などが言われてますが、S&P500のチャートとは比較にならない動きですよね。
まさに失われた30年です。
平成の時代は株価下落がひたすら続いた30年ということです。
日本でも魅力的で世界でトップシェアを持つ企業は沢山ありますから、個別の企業の株価に着目すれば30年間下落し続けてくるようなことはないんですが、普通の人が何も考えずに資産形成をするといった場合には、明らかに日本株の平均指数(日経平均)よりも米国株の平均指数(S&P500)を淡々と時間を味方にして投資し続けるのが一番なんです。
米ドルが基軸通貨じゃなくなるような事態になれば話は変わってくるかもしれませんが、米国企業の世界への影響度を考えると、これから50年は大丈夫なんじゃないですかね。
米国は出生率は下がっているものの、移民も受け入れていますから、人口が日本のように低下の一途をたどるということもなさそうですし、世界中で米国の技術(例えばマイクロソフトのWondowsとか)や製品(例えばコカ・コーラとか)が使われていますので、米国の株式全体が下がる時というのは世界の経済成長が下がる時ということです。
でも、世界の経済成長が下がり続けるということは、今までに起きていないんです。
まずは、何も考えずに安心してS&P500のインデックス投信の積立購入を始めて資産形成を始めてください。
世界の経済成長と資本の成長の長期間のデータを集めた経済理論と資産形成に関するこちらの記事もご参考に!
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